業務委託や社員…、IFAの働き方や報酬てどう決まる?

IFAのシゴト(IFAになりたい)

銀行や証券会社、保険会社などの金融機関に所属せず、法人を設立あるいは所属して顧客の資産運用をサポートする、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)。人生100年時代を迎えるなか豊かで安心に過ごすため、彼らの存在感は増すばかり。IFAに転身するビジネスパーソンは実際に増えていて、その数は6000人に迫る勢いです。ここでは、そんなIFAの働き方や報酬について解説します。

IFAの雇用形態は大きく3つ 
それぞれで収入減も大きく異なる

IFAの雇用形態は「業務委託契約」「正社員(雇用契約)」「複合型」に大きく分けることができます。 

雇用形態①:業務委託契約 
国内のIFAでもっとも多いとされているのが、個人事業主として証券会社やIFA法人と業務委託契約を結ぶスタイル。収入は完全歩合制(フルコミッション)となり、金融商品の売買手数料の一部や運用資産残高の割合に応じた報酬が支払われます。

■業務委託契約のメリット
・ノルマに縛られない
・独立性・中立性を最大限生かせる
・勤務時間の拘束がない
・転勤がなく顧客と長い関係が築ける
・成果と報酬が連動する

業務委託契約のメリットは、ノルマがないなど自由度の高さが挙げられます。特定の証券会社やIFA法人と契約を締結しますが、営業方針や売上目標を強いられることはありません。IFAにとって最大の武器である「中立性」を活かした資産運用の提案・仲介ができるわけです。掲げた志を少しでもはやく実現したいなら、業務委託契約型のIFAが最短ルートになるかもしれません。

勤務時間の拘束がないのも、業務委託契約のメリットです。もちろん、契約先や顧客の都合で決められた時間に出勤する必要はありますが、基本的には自己裁量。顧客との面談が週末に集中するなら平日に休む、年に数回はまとまった休暇を取る、子育て中なら子どものお迎えを優先する、夕方以降は家族の時間を優先するなど、ワークライフバランスを実現しやすくなります。会社都合の転勤はなく、長期間にわたる顧客との関係性を構築しやすくなるでしょう。

業務委託契約には収入面でも夢があります。先に述べた通り、業務委託契約の報酬は完全歩合制です。金融商品の販売実績や運用残高によって上下するので、成績が良ければ前職以上の収入を実現することは不可能でありません。年収1000万円を超える業務委託契約型のIFAは珍しい存在ではないようです。

■業務委託契約のデメリット
・収入が不安定
・週末の顧客対応
・業務負担が重い

メリットは裏を返すと、デメリットになります。例えば収入に関して、成果と報酬が連動するということは、成果が低いと収入が下がることを意味します。収入を安定させるためには成果を上げ続ける必要があり、顧客本位と利益の狭間で悩むIFAも少なくはないようです。

勤務時間をコントロールできるにはメリットですが、反面、週末に面談などの顧客対応に追われることも。本来は休みたくても、顧客のことや報酬のことを考えると断りづらく、人気のIFAになるほど、時間管理に苦労する可能性があります。

また、個人事業主のIFAの場合、営業から顧客管理、経理など、ビジネスにまつわる一連の業務を、一手に担わないといけません。アシスタントを雇うこともできますが、一国一城の主になることで、負担が重くなることも覚悟しないといけないでしょう。

雇用形②:正社員 
IFA法人と雇用契約を結び、正社員として働くスタイルです。大手IFA法人を中心に導入されていて、収入や固定給になります。

■正社員のメリット
・収入が安定する
・休日が定められている
・福利厚生を受けられる
・顧客を獲得しやすい
・同業者と接点が持ちやすい

正社員になる最大のメリットは、給与による収入の安定です。業務委託契約と違って固定給が約束されているので、自身やIFA法人の理念にのっとった営業を行うことができます。いうなれば会社員ですから休日も定められていて、よほどのことがない限りは休日を返上することはないでしょう。

交通費の支給や住宅補助など、法人の福利厚生や釈迦保険が充実をしているのも、正社員だからこそ。セミナー・研修の開催、資格取得を支援するなど、正社員のスキルアップを提供するIFA法人もあるようです。業務委託契約の場合は、自分でコストをかけないといけなうところ、正社員なら会社が人材育成を支援してくれます。

業務委託契約だと顧客の開拓もみずから行いますが、正社員の場合は法人が紹介してくれるケースも見受けられます。法人内に他のIFAも在籍していて、情報交換などもしやすいでしょう。

■正社員のデメリット
・業務委託契約に比べると収入が低くなることも
・ノルマが課せられることがある
・正社員の義務を果たさないといけない

正社員は固定給が得られる一方、業務委託契約に比べると収入は低くなりがちです。手数料収入はIFA法人と分け合う形になるので、仕方がない面もあります。

ノルマから逃れたいから転身したにもかかわらず、IFA法人でもノルマを課せられることもあります。業務内容が金融機関の営業職とあまり変わらない場合もあるので、転職前にIFA法人の経営・営業方針を確かめておきましょう。加えて、正社員=組織人ですから、法人のルールに従う必要があります。ノルマのほかにも業務内容や労働時間など、正社員としての義務を果たないといけません。これを窮屈に感じるIFAもいるでしょう。

雇用形③:複合型 
業務委託契約と正社員の給与形態を合わせた働き方です。この場合は、固定給+インセンティブが収入となります。雇用形態としては、IFAの正社員もしくは契約社員になることが多いようです。

複合型のメリットは、安定した収入(固定給)だけではなく、成果によっては大きな収入を実現できることです。これまで挙げた2つの雇用形態のメリットを兼ね備えているといえます。ただし、業務委託契約に比べると歩合の割合は下がることが一般的です。

雇用形態により変わる働き方と報酬
自分に合ったものを選ぶのが活躍の近道

以上のように、IFAは雇用形態によって働き方と報酬の仕組みが大きく変わります。普段の生活などから自分に合ったスタイルを選ぶことが肝心です。

なお、業務委託契約の場合は、専業ではなく副業してIFAになることもできます。実際のところ、不動産営業や保険代理店、FPなど本業は別にあり、ビジネスを補完する形でIFAになる人も。多様な働き方ができるのも、この仕事の良いところでしょう。

関連記事一覧