投資と言っても何に投資する？ さまざまな金融商品のメリット・デメリットを比較
株式や債券、投資信託……金融商品のラインナップは幅広く、投資を始めるときも何から手を付ければ良いかわからない人もいると思います。ここでは代表的なものを挙げ、その特徴やメリット・デメリットを解説します。
「安全性」「収益性」「流動性」の3つの観点で考えること
金融商品の種類はたくさんあり、どうやって選べば良いかわからない……そんなときは「安全性」「収益性」「流動性」の3つの観点で整理すると、商品の特徴を捉えやすくなります。
安全性：元本や利子の支払いは確実かどうか
収益性：期待できる収益の大きさかどうか
流動性：必要な時に換金できるかどうか
例えば、預貯金は銀行が元本・利子の支払いを保証している安全性の高い金融商品。預け先が経営破綻したとしても、預金保険の対象であれば元本1,000万円と利子が保護される仕組みです。債券に関しても発行元となる国や会社の信用度が高い場合は安全性が高く、満期時に受け取れる金額・利子などの条件通りに支払いは実行されます。
収益性とは、期待される収益の大きさを示す要素のこと。例えば、預貯金は収益を期待できませんが安全性は保証される、片や株式・投資信託は預貯金より大きな収益が期待できる反面、市場の動向次第で元本割れのリスクが伴うなど、投資の世界では安全性とトレードオフの関係になります。一般的に投資は、「当分使わない」「なくなっても許容できる」余剰資金で始めるべきで、どこまでのリスクは受け入れられるか考えたうえで、リスク商品を購入しないといけません。
換金のしやすさを示す流動性も抑えておくポイントです。預貯金はATMですぐに引き出すことはできますが、株式や投資信託は現金化するのに日数がかかり、銀行口座に移すのも時間がかかることがあります。途中で換金すると解約手数料がかかるものもあり、あらかじめ規則を確認しておくことです。
金融商品のメリット・デメリットを理解する
上記を踏まえ、代表的な金融商品の特徴を解説します。
金融商品①：預貯金
銀行などにお金を預けるもので、普通預金をはじめ、決められた期日（満期）まで預けたお金を引き出すことはできないものの、普通預金より金利の高い定期預金など、複数のラインナップが用意されています。
安全性：★★★
収益性：★
流動性：★★★
金融機関により元本が保証されていて、ATMを使えばすぐさま現金を引き出すことができます。仮に金融機関が破綻したとしても、元本1,000万円とその利息までは預金保護制度などにより守られます。
お金を預けている限り約束された利息（利子）を受け取ることができますが、昨今は低金利のため収益性を期待することはできません。また、預貯金金利が物価上昇率を下回ると、実質的な価値は目減りする恐れがあります。
金融商品②：外貨預金
日本円を米ドルなど外貨に替えて預け入れるのが外貨預金です。
安全性：★★
収益性：★★
流動性：★★
円預金より金利は高く設定されていることが多く、円高の時に購入して円安になった時点で売却すると、為替差益に応じたリターンを得ることができます。
一方、購入時よりも円高になったタイミングで日本円に戻すと為替差損が生まれます。また、円と外貨を交換するたびに為替手数料がかかり、預金保護制度の対象外なので、金融機関が破綻すると預けたお金が戻ってきません。
金融商品③：株式
上場企業の株式を売買や、保有銘柄からの配当金などで利益を得る投資手法です。国内企業が対象の日本株だけではなく、アメリカなど海外企業を取引する外国株があります。
安全性：★
収益性：★★★
流動性：★★
銘柄や売買タイミングによって、大きな譲渡益を期待することができ、会社が得た利益を株主に還元する配当金・会社の製品・サービスを進呈する株主優待も魅力的な特典です。株主投資というと大きな資金が必要なイメージですが、現在は100,000円以下で購入できる銘柄はたくさんあり、単元未満株（1株単位などの取引）だと10,000円もあれば十分なこともあります。
購入後に株価が下がる元本割れリスクがあり、株式を発行している企業が倒産すると、価値がゼロになるケースもあります。銘柄の見極めが肝になる投資です。
金融商品④：債券
資金を必要とする国や地方公共団体、民間企業などが、資金調達を目的に発行する借用書である債券。投資家が購入すると保有期間中の利子と、満期時に元本が召喚されることが約束されています。満期まで保有することはもちろん、途中で売買することも可能です。日本が発行するものは国債、外国が発行元なら外債と呼びます。
安全性：★★
収益性：★★
流動性：★★
満期まで保有してその間の利子を受け取る、価格が高いときに売却して差益を得る、安いときに購入して償還時に額面金額との差益を得るなど、利益を得る方法は複数。株式に比べると安全性は高く、収益性も安定しています。個人向け国債なら1万円からなど、少額で購入できるのも魅力的です。
ただし、株式と同じく価格変動のリスクがあり、外債は為替により円に戻した時の受取額が変動する可能性も。発行体の破綻などにより利息・償還金を受け取れなくなるリスクも考慮しないといけません。
金融商品⑤：投資信託
複数の投資家から集めたお金をひとつにまとめ、資産運用の専門家が投資・運用する投資信託。運用成果を分配金として投資家に還元し、購入時より価格が上がった時点で売却すると差益を得られます。
安全性：★★
収益性：★★★
流動性：★
株式や債券などの銘柄選定から運用までを専門家に任せることができ、投資家に手間がかかりません。多種多様な銘柄で運用されるので、1つの商品で分散効果も期待できます。数千円～1,0000円くらいから始めることができ、証券会社が提供するつみたて投資のサービスの場合、500円程度で始めることも可能です。
商品に組み入れられている株式や債券が値上がりすると価格は上昇しますが、反対に値下がりする場合もあります。投資先の破綻など、信用リスクも。金融機関で取り扱っている投資信託は異なるため、事前にチェックする必要もあります。購入時や保有時には手数料も発生します。
メリット・デメリットを理解すると投資は怖くない
このように、各金融商品はメリット・デメリットの両方が存在します。日本ではかつて預貯金で5％台の金利がついたり、1990年代以降のバブル崩壊に伴う株価下落などで「投資は怖い」と思う人が多く、いまだ銀行口座にのみお金を置く人が大半を占めています。
ところが、いまの低金利や物価上昇を考えると、預貯金だけではインフレに追従することができず、実質価値が目減りする恐れがあります。安全神話は崩れつつあり、株価や債券などを使った積極的な資産運用に打って出る必要が生じてきました。ここで挙げたメリット・デメリットを理解し、最初の一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
また、実際に運用を始める際は、どのように資産を配分すれば良いかなど、疑問も浮かぶはず。証券会社の営業職やIFAがお手伝いしますので、ぜひお声がけください。
