IFAとは? その特徴とメリットをわかりやすく解説

IFAとは?

投資を始める際は、専門家の立場からアドバイスや金融商品の説明など、顧客をサポートする相手がいると安心です。証券会社や銀行のアドバイザーなどをイメージしますが、近年は証券会社など特定の金融機関に属さず、独立した立場でこれらの業務を遂行する「IFA」が注目されています。どういった職業なのか、ここで解説しましょう。

独立系のファイナンシャルアドバイザー
「中立的な立場」であるのが最大の特徴

IFAとは「Independent Financial Adviser」の略で、日本では「独立系ファイナンシャルアドバイザー」とも呼ばれる、金融アドバイザーの業態のひとつ。内閣総理大臣の登録を受けたうえで、金融商品のアドバイス・仲介を行う専門家です。

こう聞くと、「金融機関に所属するアドバイザーと同じでは?」と思うかもしれません。IFAの最大の特徴は、特定の金融機関から独立した立場から、中立的な視点で顧客に対する金融アドバイスができる点です。銀行や証券会社の金融アドバイザーは、自分たちの利益を考慮した営業にならざるを得ませんが、IFAは顧客に寄り添ったサポートを行うことができます。

IFAは豊富な知識・経験を武器に、市場動向の分析や資産配分などのアドバイスや、株式や債券、投資信託など金融商品の説明のみならず、その販売仲介も手掛けます。資産運用のトータルサポートができるのも、大きな特徴と言えるでしょう。

IFAは1960年代のイギリスが発祥と言われ、欧米では広く普及している存在です。とりわけ、金融先進国のアメリカでは2019年時点で12万人以上のIFAが活躍し、弁護士や税理士と並ぶ社会的に信頼される職業として知られています。

日本では2004年に施行された「改正証券取引法」により認められた「金融商品仲介制度」に基づきIFAが普及し始め、当初は全国で400人ほどだったのが、2023年12月末時点には6924人(※)にまで増えました。国内でも個人投資家は増加傾向にあり、中立的なアドアイスに対するニーズが高まっていることからIFA人口が増えていると考えられます。

※参照:日本証券業協会「協会員の従業員数等

証券会社と業務委託契約を締結
平等な立場だからこそ中立性が担保される

全てのIFAは「金融商品仲介業者」としての登録を受けますが、その際は証券会社と業務委託契約を結びます。これもポイントで、雇用契約ではないからこそ中立的な立場で活動できるわけです。いわば、証券会社とIFAは協業相手という関係で、販売方針を指示することはありません。経営の独立性を保てるからこそ「独立系ファイナンシャルアドバイザー」なのです。業務委託契約先の数に制限はなく、複数の証券会社とタッグを組むIFAも少なくありません。

なお、IFAの収入源は証券会社から受け取る手数料(フィー)。顧客に金融商品を仲介した際に発生する手数料の一部が収益となります。ただし、証券会社の営業マンではないのでノルマはなく、特定の金融商品だけを販売する必要はありません。したがって、顧客にとって最適なポートフォリオを組むことができるのです。

幅広い金融アドバイスも期待できます。IFAはFP(ファイナンシャルプランナー)や保険募集、税理士などを兼務しているケースもあり、投資だけではなく預貯金や節約、保険、住宅ローンなど、生活にまつわるお金や資産全般に関する助言を得られることもあります。

中立的な立場や長期的なサポートなど
IFAを活用するメリットとは?

顧客からすると、IFAに資産運用を相談するメリットは、大きく3つあります。

メリット①:中立的・客観的なアドバイス

先述した通り、IFAは特定の証券会社や金融機関などに属していません。よって、提携先の営業方針に従い金融商品を提案したり、ノルマに追われて金融商品をプッシュしてくることもありません。中立的・客観的な立場から、顧客のニーズを最優先したアドバイスを受けられるのが、IFAを活用する最大のメリットです。反対に、偏ったアドアイスをするIFAはその存在自体が矛盾していて、IFAである必要がないということになります。それをわかっているからこそ、彼らは独立した立場を大切にしているのです。

メリット②:豊富なラインナップから提案を受けられる

IFAが業務委託契約を結ぶ証券会社は1社に限定されないと述べました。契約によっては、複数の証券会社の金融商品を仲介することができ、顧客からするとニーズに沿った幅広い提案を受けやすいと言えるでしょう。これも、自社の金融商品しか紹介できない証券会社のアドバイザーと異なる点です。

メリット③:長期間にわたるサポート

証券会社や銀行などの金融機関では、職員による不正防止を目的に、数年単位で人事異動が行われます。顧客にとって、担当者が変わるたびに一から関係を築かないといけないので、煩わしさを感じます。

一方、IFAは原則として転勤・異動がありません。顧客の資産を預かるのは証券会社であり、IFAが顧客資金を預かる預託業務は法律で禁止されていることから不正リスクが少なく、中小規模のIFA法人は、そもそも転勤とは無縁です。よって、契約から解約まで同じ担当者に資産運用を任せることができ、長期的なサポートを受けることができます。海外では、親子2代にわたり同じIFAに運用を任せることが珍しくありませんが、日本でもそれは可能です。

手数料面や規模の面で不利益もある
IFAを活用するデメリットとは?

IFAに活用にはメリットばかりではなく、デメリットも生じます。以下に挙げる3点が考えられます。

デメリット①:金融機関に比べて規模が小さい

全国各地に支店を展開する銀行や証券会社と異なり、IFA法人は基本的に企業規模が小さく、全国に拠点を構えているわけではありません。メールやオンラインでコミュニケーションが取れるとはいえ、転居などを機に場所が離れると、不安を感じる顧客はいるかもしれません。また、情報量も限られるためIFA事業者の比較がしにくく、信頼できるアドバイザーと巡り合うまで時間がかかることもあるようです。

デメリット②:手数料が割高になる可能性

IFAを挟んで金融商品を購入すると、顧客がインターネットなどを使うよりも手数料が割高になることがあります。金融商品の紹介やマネープランの提案、仲介まで資産運用を全般的にサポートするため、その分のコストがかかるからです。こういった点には注意が必要でしょう。

デメリット③:事業に関する負担が重い

IFAの立場からも考えましょう。業務委託契約のIFAは個人事業主であり、営業や経理、顧客対応など、すべての業務を自分で担う必要があり、それは軽いものではありません。IFA事業者に正社員として所属すると、一般的な会社員と同じく事務手続きは担当者がしてくれるでしょうが、独立した場合はそうでないと肝に銘じることです。収入も歩合制のケースが多く、高収入が期待できる半面、金融商品の購入につながらないと定収入になる恐れがあります。

高まりつつある資産運用の重要性
IFAは欠かせない存在になりつつある

NISA(小額投資非課税制度)やiDeCo(確定拠出型年金)など税制優遇を受けられる制度の登場、少子高齢化や終わりの見えない不景気といった将来への不安、スマートフォンやタブレットの普及、ポイント投資など資産運用をしやすい環境の整備――こういったことを背景に、富裕層だけではなく一般層にも資産運用の重要性は高まっています。これに伴い、IFAにも注目が集まるのは、自然な流れでしょう。いまはインターネットで投資情報を集める時代だからこそ、その情報が正しいのか、どんなスタンスで運用に臨めばいいのか、プロフェッショナルに相談したい人は増える一方です。そういう意味でIFAの存在は重要で、これからは欠かせない存在になっていくことでしょう。

関連記事一覧