IFAとFPて何が違うの? 比較してみよう

IFA(独立系ファイナンシャル・アドバイザー)とFP(ファイナンシャル・プランナー)は、ともにお金の専門家として知られる存在。多くの人のライフプランを日々、サポートしています。しかしながら、この2つの専門資格、一体何が違うのでしょうか。ここではそれを紐解くとともに、両者の活用方法も考えます。
FP(ファイナンシャル・プランナー)はライフプランや資金計画をアドバイス

FPは、ライフプランニングなど、資金計画の専門家です。「家を建てたい」「老後は豊かに暮らしたい」など、人生の夢・目標を実現するために資金計画を立てることを「ファイナンシャル・プランニング」と呼びます。そのためには、家計に関する金融、税制、不動産、住宅ローン、保険、教育資金、年金などの各種制度に詳しい知識が必要ですが、これらを備え、相談者をサポートするのがFPという立場です。基本的には、次のような実務を担います。
ライフプランニング、節約、貯蓄、老後の生活設計などの資産設計・家計改善善
保険、年金・社会保険、教育資金、住宅資金、税制、医療。介護、相続・贈与に関するアドバイス
FPは、相談者のライフスタイルや価値観、経済環境などを踏まえたうえで現状を分析。長期的・総合的な視点でさまざまなアドバイスを行い、その実行も援助します。また、弁護士や税理士、保険・不動産の専門家など、各分野のプロフェッショナルと連携し、相談者の要望に応えていきます。
FPは誰でも名乗ることはできず、資格の取得が必要です。具体的にはNPO法人 日本FP協会が認定する「CFP®資格」(上級資格)および「AFP資格」、国家検定であるFP技能士(1~3級)があり、受検に合格すると晴れてFPとしてアドバイザー業務に就くことができるのです。なお、2022年度時点でFP技能士試験の合格者数は、3級53万8773名、2級53万8089名、1級2万2461名、合計で107万9987名。CFP®・AFP認定者数は全国で18万7634名にのぼります(2022年7月現在)。(※1)
有資格者の活躍フィールドは幅広く、ファイナンシャル・プランナーとして起業し、ライフプラン相談を受けたり、メディアで活躍するFPもいれば、銀行や保険会社といった金融機関、一般企業内でFPの知識を活用するビジネスパーソンも少なくありません。
ちなみにCFP®・AFP認定者の場合、証券会社や銀行・金融、生保・損保など金融系で活躍する人が多く、他にも不動産・住宅、事業会社があり、FP事務所・士業事務所に勤務する有資格者は少数派でした。(※2)なかには資格手当を出す企業もあり、みなさん、それぞれの職場でFP資格を活用するケースが目立つようです。
また、資格取得や実際の仕事で得た知識を自身や家族の会計管理・資産運用にフル活用する人もたくさんいます。
このように、幅広いマネーの知識を背景に相談者の要望に応え、適切にアドバイスするのがFPの役割です。気軽にお金の相談をしたい人にとって頼もしい相手であり、FP資格を仕事やプライベートで活かしたい」という人にとっても、有益な資格と言えそうです。
※1 参照:日本FP協会「FP技能士の取得者数」 日本FP協会「CFP®・AFP認定者分布データ」
※2 参照:日本FP協会「CFP®・AFP認定者 業種別属性・年代別属性データ」
IFA(独立系ファイナンシャル・アドバイザー)は中立的な立場から資産運用をサポート
IFAとは「Independent Financial Adviser」の略で、日本語に訳すと「独立系ファイナンシャル・アドバイザー」となります。資産運用アドバイスのプロであり、顧客の資産を守り・増やすのが主な役割です。FPと同じく誰もが名乗れるのではなく、「金融商品仲介業者」の登録を受ける必要があります。もともとは欧米で普及した資格・職業でしたが、日本では2004年に施行した「改正証券取引法」により認められた「金融商品仲介制度」に基づき普及し始め、2022年12月末時点で全国に6,148名が活躍しています。基本的な業務内容は次の通りです。
顧客ニーズに沿った資産運用のアドバイス
具体的な金融商品の案内・販売仲介
長期間に及ぶ顧客サポート
IFAの最大の特徴は「中立的・客観的」な立場であるという点。基本的には特定の金融機関に所属せず、証券会社との間で締結するのは業務委託契約です。雇用契約でないからこそ中立性・客観性が担保された立場で顧客にアドバイスができます。顧客からしても、特定の金融商品をお勧めしてくる、取り扱う金融商品に偏りがある、IFAの都合を優先するといった不安がなく、相談することができます。
長期間にわたるサポートを期待できるのも、IFAならではのこと。IFAは自身が独立して事務所を構えたら転勤・異動とは無縁で、むしろインターネットなどを活用することで、全国規模で事業を展開することができます。IFA事務所の規模はさほど大きくないので、社員として勤めたとしても、転勤リスクは低いと考えられます。踏み込んだアドバイスができるので、顧客と長期にわたり良好な関係を築きやすいのです。
逆に証券会社や銀行などの金融機関では、職員による不正防止を目的に一定期間で人事異動を行うのが一般的であるため、担当者変更はどうしてもついて回ります。
近年はNISA(小額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)の普及に伴い、長期の資産運用を始める人が増えています。しかしながら、誰もが金融商品やその運用に詳しいわけではなく、プロ視点でのアドバイスは非常に有益です。IFAは、そういった方たちをサポートする、心強い存在と言えるでしょう。
IFAは金融商品の具体的な案内や取次ぎができるのが大きな違い
冒頭で述べた通り、ともにお金の専門家でありながら、似て非なる存在であるIFAとFP。その違いを端的にまとめるなら、前者が「資産運用の専門家」であるのに対して、FPは「資産計画の専門家」となります。そして、両者には事務上でも大きな違いがあり、最たるものは「金融商品の紹介・仲介・取引」ができるかどうかです。

※参照:IFA転職「IFAとFPの法律上や実務上の違い」
IFAが登録を受ける金融商品仲介業では、資産運用に関するアドバイスにくわえて、顧客の金融商品の売買手続き代理やサポートが、金融商品取引法で認められています。顧客に対して踏み込んだ提案・アドバイスができるのは、そのためです。
対してFPは、ライフプランニングの設計や見直し、家計や税金、不動産などについて一般的な解説・アドバイスはできますが、具体的な金融商品名を挙げたり勧めたりすることはできず、顧客に代わって売買の仲介を行うこともできません。
ここからわかるように、IFAとFPでは法律上の権限と実務が異なります。アドバイザー側の視点に立つと、ライフプランニングの支援にとどめたいならFPで問題ありませんが、より顧客ニーズに踏み込んだ提案をしたい、資産運用のお手伝いをしたいと考えるなら、IFAを選ぶべきです。FP資格を有するIFAなら、顧客からの厚い信頼を得られるかもしれません。
顧客(相談者)の立場に立つと、気軽にお金の相談をしたいならFPで十分ですが、具体的な金融商品の紹介を受けたい、売買の手続きも代行してほしいなら、IFAを選ぶ必要があります。自身のニーズによって、両者をうまく使い分けることです。