30代の資産形成。多額の出費を伴うライフイベントに対応しながら、どうやって資産を増やせばよい? 

資産形成の知識(投資の知識)

20代に比べると収入は増えるものの、結婚や出産、子育て、マイホーム購入など、多額の出費を要するライフイベントに直面する可能性の高い30代。日常の暮らしを維持しながら資産を形成・運用するには、どうすればよいのでしょうか。ここでは、30代の資産作りについて押さえておきたいポイントをまとめました。

30代の金融資産保有割合は約70%
一方で資産を持っていない人も少なくない  

金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世帯調査[総世帯]」(令和5年)によると、30代の手取り収入(税引き後)は平均400万円。ボリュームゾーンは300万~500万円未満(28.5%)、500万円~750万円未満(27.4%)、300万円未満(24.1%)でした。一方、750万円以上は14%と少数派です。

金融資産保有額の平均は599万円で、その内訳は預貯金が287万円(そのうち定期性預貯金108万円)、株式(140万円)、投資信託(64万円)、生命保険(44万円)が目立ち、ほかには個人年金保険、債券で保有している人もいました。

なお、金融資産保有額の分布でもっとも多いのは100万円未満(13.1%)で、次いで100万~200万円未満(8.6%)、200万~300万未満(7.5%)という順番で、1000万~1500万円(6.7%)、3000万円以上(4.0%)と大きな資産を持っている人も少なくはありません。方や金融資産を持たない人も30.2%いて、資産の多寡が二極化しているといえます。ただし、現預金が日本人の金融資産の大半を占めていた一昔前に比べると、多様な手段で資産作りをしていることがわかります。

では、30代が効率的に資産を増やす際は、何に注意すべきでしょうか。

その1つは、多くのライフイベントを意識し、事前に備えておくことです。例えば、結婚。厚生労働省の調べによると、日本人の平均初婚年齢は男性が約31歳、女性が約29歳となっており、第一子出産時の母の平均年齢は約30歳です。中央値は男女ともに少し若返りますが、いずれにしても多くの人が結婚・出産を30代に迎えています。なお、挙式、披露宴・ウェディングパーティーの総額は平均で約343.9万円(ゼクシィ結婚トレンド調査2024)かかり、その前後の結納や両家の顔合わせ、婚約指輪、新婚旅行なども含めると、結婚に関する一連のイベントだけで相当の出費を要します。

子供が生まれると日々の養育費、教育費について考えないといけません。幼児のうちは保育園なのか幼稚園なのか、学校も公立・私立によって学費は大きく変わりますが、一般的に幼稚園から高校まで公立なら約580万円、すべて私立なら約1800万円かかります。これに大学が加わると、公立であろうが私立であろうが、やはり多額の資金を用意する必要があります。家庭を持つようになるとマイホームの購入も検討するでしょうが、昨今は資材や人件費の高騰を受け不動産価格は上昇しています。不動産研究所によると2023年の全国新築マンション1戸当たりの平均価格は6082万円と8年連続で過去最高を更新し、東京23区に関しては2年連続で1億円を超えました。戸建てや中古住宅の価格も上がっていて、長期の住宅ローンを活用することになるでしょう。

このように、出費を伴うライフイベントが目白押しとなりますが、収入の増加分だけで対応することは現実的でありません。20代のうちから準備を始めておくことが重要です。また、ためる・増やすことだけに注力するのではなく、支出を減らす努力もすべきです。若いうちから節約グセをつけておくと、年齢を重ねても続けやすいのもメリットといえます。

30代から資産作りを始めるメリットは
時間を味方につけられること

30代から資産形成・資産運用を始める最大のメリットは、時間を味方につけられることです。資産作りは長期運用が前提であり、時間をかけたほうが「〇〇ショック」と呼ばれるような一時的な株価の下降局面も乗り越えることができ、結果的に安定的な収益につながっていきます。例えば積み立て型の金融商品であれば長期間にわたり取り組むことができ、かつ一度につみたてる金額を抑えることも可能です。また、投資元本に対する利息も再投資する複利運用は長期運用になればなるほど効果を発揮し、その恩恵を大きく受けることもできるでしょう。

若いうちから資産運用を始めるとさまざまな経験を積むことができ、それは後にも生かされます。多額の退職金を金融商品に投資してしまい、大きな損失を生んだという話もありますが、そういった事態を避けやすくなるに違いありません。もちろん、運用の過程で失敗することもあるでしょうが、早い時から始めていると損失を取り戻す時間と機会も得やすいのです。

なお、長期で資産作りをする際は、目的とその達成時期を明確にしておく「ゴールベース運用」を実践するのが鉄則です。例えば、30歳の時点で定年退職を迎える65歳までに3000万円の金融資産を作りたいとします。すると、35年で3000万円を作るには年間85万円、1か月あたり7.1万円をためないといけません。ただし、預貯金で増やすのではなく株式や投資信託を活用すると元本割れなどのリスクは伴いますが、毎月の積み立て額を減らすことは可能で、仮に年率3%で運用するなら約4万円で済みます。このように、目的と達成時期、何で運用するかまで明らかにしておくと、資産作りの方向性も見えてきます。

具体的は資産形成・資産運用の手段ですが、絶対に減らしてはいけないお金に関しては元本が保証される預貯金を使うのがベターです。勤務先に制度が用意されているなら、財形貯蓄を活用する手もあるでしょう。

ただし、超低金利のいまは預貯金だけで資産を増やすことは現実的でありません。個別株や投資信託の活用を検討する必要があり、なかでも非課税で運用できるNISAやiDeCoはお勧めの制度といえるでしょう。なお、NISAは運用中いつでも換金できますが、私的年金制度のiDeCoは原則60歳以降にならないと資金を引き出すことはできません。また、両制度ともに運用する商品によって元本割れのリスクがあるため、投資対象を吟味する必要があります。

学資や養老、終身といった貯蓄型の保険商品で資産を運用する方法もあります。ただし、運用商品として考えるとNISAやiDeCoよりもコストは高く、保険料の払込期間中に解約すると元本割れのリスクもあります。死亡保障の役割も兼ね備えるので万が一のことがあっても安心ですが、どのように活用すべきは毎月の保険料やリターン、リスクと照らし合わせて考えましょう。

このように、老後まで時間のある30代にとって、資産形成・資産運用の選択肢は幅広く用意されています。一方で幅広く用意されているため具体的なアクションに迷うこともあるでしょう。そんな困った場合は、IFAのような専門家に頼ることも選択肢のひとつです。

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