50代の資産形成と運用——運用資金が増えるタイミング。積極・安定運用を心がけること
50代になると収入は安定し、一定額以上の貯蓄を持つ人が多くなります。中には子育てが一段落して教育費の負担が軽くなったり、住宅ローンも残りわずかという人がいるかもしれません。一方、会社勤めの方は定年が近づき、退職後の暮らしを意識した資産作りを本格的に始めるケースも見受けられます。では、具体的にどういったスタンスで臨めばよいでしょうか。
50代の金融資産保有額は平均1212万円
預貯金や保険、株式などで保有している
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世帯調査[総世帯]」(令和5年)によると、50代の手取り収入(税引き後)は平均で552万円でした。最多を占めたのは500万~700万円未満(26.0%)で、次いで300万円未満(22.5%)、300万~500万円未満(20.7%)という順番でした。他の年代と同じく750万円以上の割合は急激に減るものの、1000万円以上が13.6%と、この世代は2ケタ台に乗りました。
この世代になると、調査対象の99.1%が預貯金もしくは証券口座を持っています。保有している金融商品は多い順から預貯金(96.4%)、積立型保険商品(31.9%)、株式(28.6%)、個人年金保険(25.7%)、投資信託(24.9%)という結果。他の世代と同じく預貯金が突出している一方、さまざまな金融商品に資産を分散させていることがわかります。とりわけ、個人年金保険の割合は20代(10.7%)、30代(19.9%)、40代(20.8%)から一気に伸びており、50代を迎えると老後を意識した資産形成・運用を始めている人が多いようです。金融資産保有額は平均1212万円となっていますが、中央値は200万円。資産格差が際立ちます。
実際に、さまざまな金融商品を使い資産を形成・運用しているようですが、片や何もしていない人は「今から始めても遅いのでは?」と不安に感じるようです。ところがそうではなく、50代は本格的な資産作りをはじめるのに適した世代といえるでしょう。
まず、50代は子どもが社会人になり、教育費がかからなくなったり、マイホームの住宅ローンを完済したりする世帯が表れ始めるころ。家族で一緒に食事・旅行をする機会も減り、自分自身や配偶者も若いころに比べると外食や身なりにかけるコストは減っているのではないでしょうか。毎月の生活費は減る傾向にあり、余った分を資産形成・運用に回すことができます。
また、会社員や公務員の定年は60~65歳といったところ。50代を迎えると否が応でも定年を意識するようになります。公的年金の受給額は「ねんきん定期便」などで確認することができ、受け取る退職金の額もおおよそを把握できるに違いありません。定年退職時点の資産、さらにはその後の収入を可視化することで、最低限の暮らしや、趣味や旅行を楽しんだりするための必要額もわかります。今からどのような資産作りをすればよいかプランを立てやすいタイミングといえるでしょう。
働いているうちから資産形成・運用を始められるのもメリットです。現役時代は預貯金を中心に資産を増やしておき、退職金を元手に投資で資産を増やそうと考える人もいますが、これは絶対に避けるべき。知識・経験がないと失敗するリスクは格段に上がり、限られた時間で失ったお金を取り戻すのは現実的でありません。老後のプランが大きく変わる恐れがあるからこそ、一定の収入がある50代のうちから資産形成・運用は始めておくこと。正しい知識と経験を積むことで、リスクを軽減することができます。
50代の資産形成・運用はリスクヘッジを意識
増やすことよりも「減らさないこと」を重視

毎月の収入やそれまでの貯蓄もあり、比較的大きな資金を運用に回せるのは、50代だからこそ。一方、投資に失敗し老後資金を失うわけにもいきません。増やすことも大事ですが、「減らさないこと」がもっとも重要だということです。攻めと守りのバランスを考慮した資産配分を組む必要があり、そこで検討したいのが株式や債券の活用です。
言わずもがな、株式は売却による売買差益、保有により得られる配当金や株主優待が期待できる投資です。ただし、個別株の株価は日々変動するため元本割れを起こしたり、企業業績によっては配当が減ったりなくなることもあります。また、一般的に株式の売買単位は100株なので、ある程度まとまった資金も必要です。そう考えると、1銘柄に大金を投じるのではなく、複数の株式に分散投資する投資信託を購入したほうが、リスクを抑えた投資が可能となります。例えば、投信積立をメインで行いながら、余裕資金で個別株投資をするなど、守りを重視した株式投資にトライすると安心です。
一方、債券は国や地方公共団体、企業などが発行し、投資家から資金を調達する借用証書のようなもの。国債や地方債、社債、外国債などが代表的で、投資家は定められた利子を受け取りながら償還日には元本(額面金額)を受け取ることができます。途中で売却し現金化することも可能です。ただし、発行体が破綻したり、財政難に陥ると定められた利息・償還が受けられない信用リスクや売却損が生じる価格変動リスクなどもあります。
しかしながら、株式に比べると債券はローリスクとされ、「資産を減らさない」という観点では魅力的な金融商品です。債券そのものに投資する、もしくは債券で運用する投資信託を通じて運用することができます。50代であれば株式よりも債券の比率を高めるなど、低リスク資産への投資を増やすのがポイントといえます。
これらの投資は、NISAやiDeCoを使い行うことです。NISAであれば投資利益が非課税となり、iDeCoなら投資利益だけではなく、毎月の掛け金が控除の対象となり、受け取り時も税制優遇を受けられます。投資から得た利益を減らさないという点で有効な制度ですから、うまく活用しましょう。
もちろん、資産の状況や今後のライフプランは、人それぞれ。それによって適した運用商品も異なります。これから本格的に始めたい、いましている方法が正しいかわからない人もいるでしょう。悩みや疑問があるなら、IFAのような専門家に相談することです。

