投資の初心者が犯しやすいミスとその回避法とは?
日本やアメリカをはじめとする世界的な株高、NISAの恒久化などを受けて、投資デビューを果たす人が増えています。ところが、株式や投資信託は預貯金と異なり元本保証の金融商品ではありません。いざ始めたものの、うまくいかないケースも…。ここでは、投資初心者が失敗しやすいパターンと、その回避法についてわかりやすく解説します。
目的・目標を掲げ余裕資金で始めるのが鉄則
情報収集を怠らず売買判断を誤らないこと
投資初心者は、どういった失敗を犯しがちでしょうか。ここでは5のパターンを紹介します。
パターン①: 目的・目標を掲げない
ビジネスや学業、ダイエットや節約…物事を進める際は、その目的や目標を決めてから始めるというもの。これらを可視化することで、リスクを抑えながらゴールにたどり着きやすくなるからです。みなさんも普段から実践していると思います。
ところが、いざ投資となると「お金を増やしたい」と漠然とした考えで始め、失敗する人が後を絶ちません。それは、目的・目標が不明瞭だとリスク許容度に合わない金融商品を選ぶことがあるからです。例えば「子どもの教育費をためたい」という目的にFXは不向きです。高いリターンを期待できますが、レバレッジを利かせると市場の急激な変動で、一気に資金を減らす恐れがあります。本来、この先必要なお金をハイリスクの金融商品に投じてはいけません。「子どもの教育資金のため、10年後に100万円が必要」など目的や目標を掲げると、実現するためには毎月どれだけの元手を使い、どのような金融商品で運用すればよいか見えてきます。こういった、投資のスタート地点を見誤らないことです。
パターン②:生活に必要な資金で投資を始める
これは、絶対にNGのパターンです。株式や投資信託といった元本が保証されない金融商品は、あくまでも余裕資金で始めるべきです。そもそも、株式市場が上昇・下降一辺倒ということはなく、上下を繰り返しながら推移していきます。あるいは、全体が下げ相場であっても業績がよい銘柄の株価は上昇し、反対もしかり。「100%こうなる」と断言できません。それにもかかわらず生活費を投じると、元本割れに焦って売却し、結局は資産を減らすだけです。対して余裕資金なら元本を割れても、一時的な要因なら待つことができます。少なくとも半年分の生活費は現預金で残しておいたり、絶対に失ってはいけないお金は投資に回さないことです。
パターン③:SNSの情報などを鵜呑みにする
現在はSNSで投資情報を発信している人がたくさんいます。具体的な銘柄名や商品名などを推奨する内容も目立ちますが、果たしてそれは正しいのでしょうか。なかには、表示回数やフォロワー獲得、広告収入のため、あえて注目されるようなコメントを残すケースもあります。「過去に1億円儲けた」というキャッチコピーがあったとして証明できるものでもなく、万人向けのセオリーだとも限りません。最近の投資詐欺はSNSのDMや出会い系アプリがきっかけということもあり、第三者からのおいしい話には裏があるというもの。こういった情報を鵜呑みにするのは厳禁です。
パターン④:リスク許容度がわからず冷静な判断ができない
投資を始める際は、自身がとれる「リスク許容度」を明確にしておかないといけません。仮に100万円を投じるとして「80万円まで減るのは耐えられる」「90万円を割るとショックで寝られない」など、年齢や収入、投資経験、余裕資金などにより異なりますが、これを知っておくことで自分に合った金融商品や冷静な判断ができるようになります。それこそリスク許容度が低いならハイリスクハイリターンなものは避けるべきです。20代のシングル世帯なら運用が失敗したとしても後に取り戻せる可能性があるのでリスクを取れますが、老後が近い50代かつ子どもの学費がまだかかるなら、株式よりも債券がよいかもしれません。
また、リスク許容度がわかっていないと、急な価格変動で含み損が生まれると驚いて損切りをしたり、利益が生まれたのに「まだ上がるかも」と甘い予測のもとで放置した結果、その後の下落で結局は儲からなかったなど、冷静な投資判断を下せないことも…。投資で大事なのは「自分を知ること」です。
パターン⑤:投資対象のことをよく調べない
株式であれば業績や財務状況、将来性など、企業の実態を把握してから銘柄を絞り込むというもの。「有名だから」「株主優待が人気だから」といった表層的な理由で選ぶと、株価の急落に巻き込まれる恐れがあります。投資信託も何に投資するものなのか、信託報酬をはじめとするコストはどうなっているのか確かめずに投資すると利益が生まれないということがあります。企業や金融商品のサイトでは細かい情報が見られるので、しっかり下調べをしてから投資対象を選びましょう。
金融商品の特徴も覚えておくべきポイントです。株式は銘柄によって値動きが異なり、大きな変動にさらされることがあります。一方、複数の銘柄に投資する投資信託の値動きは小さく、短期間で大きなリターンを期待する金融商品ではありません。投資対象について理解を深めることで、目的や目標、リスク許容度にあったものが見つかるはずです。
「3つの余裕」を心がけたうえで
「長期・積立・分散」を徹底すること

日本証券業協会は投資をするにあたっての心構えとして、「心の余裕(冷静な判断力)」「時間の余裕(中長期投資が基本)」「資金の余裕(余裕資金で)」という「3つの余裕」を持つことが大切だと述べています。これらに留意することで、多くのミスを回避することが可能です。
「分散投資」も徹底しましょう。例えば、投資の初心者はまとまった資金を一度に投じる「集中投資」を行いがちですが、その分リスクは高くなります。株式や投資信託、債券といった金融商品、国や地域・業種業界など投資対象を複数にわけ、分散投資をするとリスクを抑えることができます。
時間の分散も重要なポイントです。資金を一時的に集中投資すると、相場全体が下落した際に保有する金融商品が一網打尽になるかもしれません。毎月●万円など投資タイミングをわけながら、コツコツと投資を続けると購入価格が平準化され、価格変動のリスクを低減できます。投資信託が対象の積立投資がこれに当たります。また、短期投資で利益を狙うと、思わぬ下落で損切りの憂き目にあうかもしれませんが、長期投資の場合、それだけチャンスは増えます。「長期・積立・分散」は金融庁も重要性を掲げており、多くの人に勧める投資法です。持続的な資産形成・運用を実現するためにも、まずはこれらを実践しましょう。

