短期投資と長期投資、どちらを選ぶべき? あなたに合った投資方法を解説

投資をする際のスタンスとして挙げられる「短期投資」と「長期投資」。金融商品の売買タイミングに違いがありますが、それぞれにどういったメリット・デメリットがあり、どちらが自分に向いているのでしょうか。ここでは、その傾向について考えます。
同じ投資でも時間軸が変わると
狙う利益やリスク・リターンが異なる
短期投資と長期投資の違いは、株式や債券、投資信託など金融商品を買ってから売却するまでの期間の長さのこと。わずか数秒~数分で完結するスキャルピング、1日の中で同一銘柄を売買するデイトレード(デイトレ)、数日~数週間のサイクルで取引するスイングトレードなどが短期投資に当たり、1つの金融商品を年単位で持ち続けるのが長期投資に該当します。
短期投資と長期投資では、投資すべき対象と期待すべきリターンは異なります。例えば、同じ株式であっても、短期投資はそれこそ短い期間で株価が上昇し、それこそ目標株価まで値上がりしたらすぐに売却し、次の投資対象を見つけます。一度の売買で得る利益は少なくても、それを繰り返すことで利益を積み上げていくのが、醍醐味と言えます。
一方、長期投資では1年後や5年後、10年後に会社の規模・利益が拡大するに伴い、株価も大きく上昇するであろう銘柄に投資します。これだけの期間を経て、株価が数十倍になることもあり、それが長期投資の魅力と言えるかもしれません。
短期投資ではキャピタルゲイン、長期投資ではキャピタルゲインとインカムゲインというように、両者では期待すべき利益も異なります。
キャピタルゲインとは保有資産の売買差益のことを指し、主に値上がり益を期待する短期投資では、これが収益源となります。一方、長期投資ではキャピタルゲインに加えて、権利付き日に対象となる金融商品を持つことで得られる配当金や分配金、株主優待、利子といったインカムゲインも期待できるのが特徴です。
このように、得られる利益にも違いがあるので、短期投資では短時間で株価が上下しやすい銘柄、長期投資では高配当銘柄を持つなど、スタンスによって投資対象を選別することが大切と言えそうです。
短い時間で利益を得られるが…
短期投資のメリット・デメリット

投資対象の値動きに注目して売買する、短期投資。代表的なメリット・デメリットは以下の通りです。
■メリット
・短期間で利益獲得が期待できる
・含み損を抱えずに済みやすい
・地政学リスクなどを回避しやすい
■デメリット
・一度に大きな利益を期待しづらい
・配当金などインカムゲインが得にくい
・取引回数が多いと売買手数料がかさむ
年単位の長さで取引する長期投資に比べ、短いと数秒~数分で利益が確定する短期投資は、利益実感を得やすい投資手法です。投資家からしても「稼いでいる」という実感がわきます。また、短期投資では利益確定と損切りのルールを徹底しますが、これを守っている限り含み損を抱えずにすみます。リーマンショック、近年であれば新型コロナウイルス感染症、ロシアによるウクライナ侵攻など、思いもよらない事態が起きればトレードを控えることもでき、リスク回避につなげやすいのもメリットです。長期投資は保有資産の値動きが気になる人もいるでしょうが、短期投資ではそういったストレスは少なく、何なら一時的に投資から離れることもできます。
一方、わずかな値動きで売買する短期投資だと、一度で大きな利益は期待できません。投資元本の金額にもよりますが、少資金だと物足りなさを感じるかもしれません。配当金・分配金などインカムゲインを得るには、定められた日に金融商品を保有する必要があり、これもデメリットかもしれません。小さな利益を積み上げる短期投資はどうしても取引回数が増えるので、売買手数料もかさみます。また、短期投資は相場と向き合い行う必要があり、仕事や私生活に支障が出る恐れもあります。
安定した収益を得やすいのが魅力
長期投資のメリット・デメリット

企業の成長など、長期的な視点で臨む長期投資のメリット・デメリットも挙げました。
■メリット
・安定的、継続的に利益を得やすい
・まとまった資金がなくても始められる
・忙しい人でも始めやすい
■デメリット
・投資を始めてもすぐに利益を得られない
・投資先が破綻すると数年分の利益を失う
・投資の実感が薄く物足りない
長期投資最大のメリットは、短期投資に比べると安定的・継続的に利益を得やすい点にあります。株式の配当金、投資信託の分配金、不動産投資の賃料収入など、インカムゲインは金融商品・資産を長く持てば持つほど、多くもたらされます。長期投資は、これを享受するのに向いている投資手法と言えるでしょう。また、「毎月1万円分の金融商品を購入する」など、長期投資は積立に向いていて、少額で始められるサービスがたくさんあります。まとまった資金がなくても始められる手軽さも魅力です。加えて、投資元本と受け取った利子に対して利子が付く「複利」の効果も得やすく、時間をかけて資産を育てることもできます。短期投資では一時的な暴落で損失を被ることがあっても、長期投資は腰を据えて行うので、日々の値動きに一喜一憂する必要がありません。
ただし、長期的な視点で利益を狙う長期投資では、短期的に大きな利益を見込むことはできません。じっくり腰を据える必要があり、その間は資産も固定され他に使うことができません。余剰資金で始めるのがセオリーでしょう。また、何年も保有した挙句、投資先が経営不振などにより倒産したら、投資元本や利益はなくなってしまいます。失敗すると時間・資金のロスが大きいので、のんびり構えるだけではなく、保有資産の動向を定期的にチェックする必要があります。最後のデメリットは人それぞれですが、長期間同じ金融商品を持ち続けるので実感がわかず、物足りないと思うかもしれません。
それぞれの投資に向いている人は?

ここまでで、短期投資・長期投資の概要とメリット・デメリットを述べてきました。同じ投資でも中身は異なり、それぞれに向き不向きがありそうです。以下にまとめてみました。
■短期投資に向いている人
・余剰資金で稼ぎたい
・投資にかける時間がある
・メンタルが強い
■長期投資に向いている人
・安定した利益を得たい
・投資に振り回されたくない
・投資のコストを抑えたい
株価変動を正確に予測するのは難しく、一寸先は闇というのはよくあること。短期投資はそういったリスクを理解したうえで、最悪なくしても許容できる余剰資金がある人向きの投資手法です。売買を繰り返すので、1日の間で投資にかける時間があり、急激な値動きや損失に耐えられるメンタルの強さも求められます。
長期投資は、安定して利益を得たい人にとって、有益な投資手法になりえます。価格変動に一喜一憂したくない、投資にあまり時間をかけたくない人にも向いています。投信積立など、まとまった資金がない、金融商品に詳しくない人でも始められるサービスもあり、投資の初心者は長期投資で慣れていくというのもありでしょう。取引回数が抑えられるので、売買手数料の節約にもなります。
利益を得るタイミングや種類、リスクとリターンの関係など、さまざまな面で異なる短期投資と長期投資ですが、どちらかのほうが優れた手法ということではりません。大切なのは、それぞれのメリット・デメリットを理解したうえで、自分に向いた手法を試すことです。投資の経験を積むことで、両方を実践しても構いません。なお、自分はどちらに向いているかわからないなら、証券会社の窓口やカスタマーサポート、IFAに相談してみると良いでしょう。
党sh氏の初心者でも始めやすいサービスも用意されているので、