NISAの「成長投資枠」と「つみたて投資枠」の違いを解説。うまく使い分ければ、資産運用はより効果的になる
公開日: 更新日:
NISA制度が大きく変わり、制度の恒久化、非課税保有期間が無制限になるなど、使い勝手が大きく向上しました。大きなインパクトがあったのは、「成長投資枠」と「つみたて投資枠」が併用できるようになったことです。両者にはどのような違いがあり、どう使い分ければ良いのでしょうか。詳しく解説します。
NISA口座数は2600万件を突破。ますます広がる非課税による資産運用
金融庁の調査によると、2025年6月末時点のNISA口座数は前年同月より270万件以上増加し、2696万件超に達したとされています。40~50代の利用が最も多く、次いで30代、60代と続きます。買付額は全体で約10兆円にのぼり、そのうち約7兆円が成長投資枠、残り約3兆円がつみたて投資枠によるものです。多くの人が、税制優遇の制度を使い、株式や投資信託といった金融商品で資産を運用するようになりました。
成長投資枠とつみたて投資枠の違いを述べる前に、NISAの制度についておさらいしましょう。ポイントは以下の通りです。
●NISA口座で得られた投資利益は非課税
●非課税保有期間が無期限
●制度(口座開設期間)は恒久
●成長投資枠とつみたて投資枠の併用が可能
●年間投資枠は最大360万円
●非課税保有限度額(総枠)は最大1800万円
●非課税保有限度額(総枠)の再利用が可能
NISA制度の概要
「つみたて投資枠」と「成長投資枠」は併用できる

※①整理・監理銘柄
※②信託期間20年未満、毎月分配型の投資信託およびデリバティブ取引を用いた一定の投資信託等を除外。(2023年末までに、つみたてNISAおよび一般NISAの口座において投資した商品は、2024年1月以降はNISAの外枠で管理され、2023年までのNISA制度における非課税措置が適用される)
出典:金融庁の資料をもとに作成
成長投資枠は旧制度の「一般NISA」、つみたて投資枠は「つみたてNISA」に該当します。以前はどちらか片方しか利用できませんでしたが、新制度以降は併用できるようになったことも特徴です。
両者の制度上の違いは、投資対象と年間投資枠です。
■成長投資枠
投資対象:上場株式、投資信託など
年間投資枠:240万円
■つみたて投資枠
投資対象:金融庁の基準を満たした長期の積立・分散投資に適した投資信託
年間投資枠:120万円
非課税保有限度額1800万円のうち、成長投資枠に使えるのは1200万円までです。つまり、年間投資枠の240万円をフルに使うと、5年で上限に達することになります。他方、つみたて投資枠は均等だと毎月10万円まで投資信託を買い付けられます。毎月10万円の買い付けをすると1年間で120万円なので、1800万円の枠をフルに使うなら15年間です。成長投資枠に1200万円、つみたて投資枠に600万円を投じるとすれば、5年間で上限に達することになります。
投資対象から考えると、成長投資枠の方が商品選択の自由度は高くなります。限度額の範囲内であれば、つみたて投資枠の対象商品に加えて対象外の投資信託、さらには個別株を購入することも可能です。
つみたて投資枠の対象商品は旧制度と変わらず、公募株式投資信託であれば、「販売手数料が無料」「信託報酬が一定水準以下」「主たる投資の対象資産に株式を含む」など、長期・積立・分散に適すると金融庁が認めた一定の投資信託(ETFを含む)という制限があり、その数は2026年1月15日時点で合計347本。この中から選ばないといけません。
日本であれば日経平均株価やTOPIX、アメリカならダウ平均株価やS&P500といった代表的な株価指数と連動する投資成果を目指す「インデックスファンド」が主な投資対象となります。アグレッシブな運用でインデックス以上のパフォーマンスを目指す「アクティブファンド」も一部含まれますが、その数は少なく、同ジャンルで運用する場合は成長投資枠を選ぶことがほとんどです。
また、個別株を選ぶことができるのは成長投資枠に限られます。日本株のみならず、米国をはじめ外国株も対象であるため、非課税で個別株投資をしたいなら、成長投資枠の活用が必須です(証券会社により対象国・銘柄は異なります)。
ただし、成長投資枠は1年間での投資上限が240万円と定められており、累計金額でカウントされるため、頻繁に売り買いを繰り返すと年間の枠を使い切ることになってしまいます。翌年に投資枠はリセットされるとは言え、計画的な運用が求められます。
制度の特徴を活かし、運用目的に応じて使い分ける

同じ非課税投資でも、「成長投資枠」と「つみたて投資枠」では、特徴が異なります。こういった特徴を理解した上で使い分けると、より効果的な運用ができます。
たとえば、個別株やつみたて投資枠で購入できない投資信託などに投資したい場合は、成長投資枠で購入することになります。両方で投資できる商品の場合は、基本的に非課税保有限度額が多い「つみたて投資枠」を使い、年間投資枠を超える分は「成長投資枠」で購入すれば、より多くの口数を保有することができます。
ただし、成長投資枠では購入するタイミングごとで注文を出す必要があり、手間がかかります。つみたて投資枠なら、商品とつみたて額を設定すれば自動で買い付けることができるため、より手軽であり、毎月同じ金額分を買い付けることで購入平均単価が平準化される「ドルコスト平均法」の効果も得られます。少額から始められるつみたて投資枠は、資産運用の初心者にも向いています。
投資の基本は長期運用です。長く保有することでリスクを抑えながらコツコツ運用するなら、無理をしてまで成長投資枠を使わず、つみたて投資枠を優先的に使うほうが良いかもしれません。あるいは、まとまった余裕資金で投資したいのであれば、成長投資枠も活用するのがおすすめです。徐々に慣れてくれば、生活の変化に応じて投資配分を変えていけば良いでしょう。
2つの枠を使い分ける方法もあります。つみたて投資枠ではインデックスファンドを積み立て、成長投資枠ではアクティブファンドを積み立てるといったように、異なるタイプの投資信託を積み立てると、長期の資産形成と利益重視の投資を両立できます。つみたて投資をしながら、成長投資枠で気になる企業の株式を買う。あるいは配当や株主優待を楽しむといった使い方もできます。
いずれにしても、大切なのは「リスクを抑えたい」「資産を早く増やしたい」といった、目的に合った投資の仕方を選ぶことです。目的を達成する方法として、NISAを上手に活用していきましょう。

