「株主優待プログラム」の魅力を徹底解剖

資産形成の知識(投資の知識)

一定以上の株式を保有している株主に対して、上場企業が自社のサービス・製品などを提供する「株主優待プログラム」。応援したい企業の製品・サービスを定期的に受け取れることから、個人投資家に人気の制度であり、これを目的に銘柄選びをする人もいます。一方で、外国人投資家から見ても魅力的な制度なのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

日本独自の株主還元施策。企業・投資家の双方にメリット

株主優待プログラム(以下、株主優待)とは、企業が株主に対して自社の製品・サービスなどの優待品を贈る制度です。年に1~2回実施するのが一般的で、プログラムの導入は企業の任意となっています。2025年12月時点で、約4000社ある上場企業のうち1600社以上が導入しているとされています。

株主優待の内容は企業により異なります。主には、以下のようなものが特典として提供されます。

・自社の製品

お菓子の詰め合わせなど、食品や日用品が目立ちます。人気の優待であり、株主が商品を体験できるというメリットもあります。

・割引券、優待券

外食産業や小売業界でお馴染みの優待で、自社店舗で使える割引券やクーポンを提供します。生活圏内に対象となる店舗やサービスがある人にとってお得な優待といえるでしょう。

・サービス利用

航空会社の無料・割引の特典航空券、ホテルの無料宿泊券、スポーツクラブの利用券など、自社サービスの無料利用券や割引券を提供します。

・ポイントプログラム

株主にポイントを付与し、株主はそのポイントを使って商品・サービスと交換します。ポイントの使途が幅広く用意されており、近年は導入する企業が目立ちます。

・地域特産品

企業が地域の特産品や観光施設の優待券などを提供します。企業と地域社会のつながりを強化し、地域経済の活性化にも寄与します。

株主優待の目的は多岐にわたり、最たるものは安定株主の確保です。定期的に株主優待が提供されれば、多少の値動きがあっても手放しにくくなります。株価が下がったときは、安く優待が手に入るチャンスと捉え、買い支えも期待できます。この点は、機関投資家や売買差益を狙う投資家との大きな違いであり、企業にとってはありがたい存在です。

自社製品・サービスを提供すると宣伝になり、企業のブランドイメージのアップにつながります。投資家からしても、企業に対する親近感や信頼感も湧くでしょう。株主が日常的に商品を使い、サービスを受けることで、企業を長期的に支持するファンになっていきます。優待内容が個人投資家の間で話題になれば、知名度が上がり、株式の長期保有や追加投資、株主の新規獲得にもつながるかもしれません。金券などに比べ、コストを抑えて優待を提供できることも、企業にとってのメリットでしょう。

ただし、業績の悪化や機関投資家からの圧力により、株主優待の縮小・廃止を余儀なくされる企業もあります。それに伴って個人投資家が離れ、株価が下落するリスクも考えられます。たとえば、オリックスは2022年5月にカタログギフトの優待を廃止すると発表したことにより、株価が4日連続で下落しました。

2024年5月には、ケンタッキー・フライド・チキンを展開する日本KFCホールディングスがアメリカの投資ファンド「カーライル・グループ」によるTOB(株式公開買い付け)が成立することを受け、年2回の優待を廃止することに決めました 。お茶漬けなどで知られる永谷園ホールディングスも、MBO(自社買収)の成立により2024年9月27日をもって上場廃止となり、自社製品を提供する株主優待も姿を消しました。このように経営環境の変化によって、制度を廃止する企業もあります。

個人投資家にとって株主優待は魅力的な制度である一方、優待の内容は取締役会の決議を経れば変更できるので、突然に廃止されることもあります。また、株主優待の内容だけで投資判断を下すと、企業の実態を正しく見極めることは難しいでしょう。

株式投資の基本は企業の成長による株価の上昇や配当金であり、株主優待はあくまでもオプションのひとつとして考えましょう。優待が受け取れるからといって、含み損のある銘柄を保有し続けるのは、投資において得策とは言えません。

海外の投資家にとって株主優待は魅力的か

株主優待は個人投資家にとってお得な制度ですが、外国人投資家を含む機関投資家にとっては、そうとも言えません。彼らは株価の値上がりや配当金が目的であり、製品やサービス、商品券が狙いではないからです。

そもそも企業によっては、優待の配送を国内に限定しているケースも見られます。こうした企業は、外国人投資家から「公平な利益還元に反する」として不評を買うこともあります。とりわけ外国人投資家の持ち株比率が高い企業では、こうした声を受けて、制度の縮小・廃止を決定する企業もあるほどです。

株主優待には製品・サービスの提供や配送などコストがかかり、その分を配当金に回してほしいというのが外国人投資家の本音です。株主優待は日本特有の制度であり、外国株では配当金による株主還元を重視しています。業績が好調な企業が連続増配などを実施するのは、そのためです。

ただし近年は、NISAの普及も手伝い、国内では個人投資家が増えています。また、先述したように安定株主を確保したいとの観点から、株主優待制度を継続、あるいは新設する企業も増加傾向にあります。

外国人投資家の持ち株比率が低い優待銘柄を選ぶ。あるいは優待が縮小・廃止されても売却益や配当金で利益が得られる銘柄を厳選する。株主優待のある銘柄を選ぶ際には、こうした対策を講じることも検討しましょう。

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