インフレ時代の金投資。金価格の動向と資産運用への活用法
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投資にはさまざまな手段があり、そのひとつが金(ゴールド)への投資です。金地金(きんじがね)などの現物を購入したり、投資信託・ETFを通じて投資したりするなど、多様な方法が用意されています。世界的にインフレが続くなか、「金投資」はどのように活用できるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
インフレや有事に強いとされる金。価格は右肩上がりで伸長
金価格は海外ドル建て・国内円建てともに、長期的な上昇を描いています。日本円だと2000年に1グラム1,000円ほどだったのが、23年8月には1万円を突破、26年3月上旬時点で2万8,000円を超え、史上最高値を更新し続けています。
価格高騰の理由はいくつか挙げられます。1つは、世界的な需要の増加。金は宝飾に加え工業用にも利用されており、需要に対する供給不足の状況が価格を押し上げています。
地政学リスクの影響も指摘されています。現在はロシアとウクライナの問題や中東情勢など、世界中でさまざまな地政学リスクが顕在化しています。こうした場合、金のような世界中で価値が認められている安定的な資産を求める人が増え、結果的に金相場も上昇します。
インフレ下ではモノの価値と同時に金価格も上昇します。そのため株式だけでなく金にも投資することでリスクヘッジを図る投資家もいます。また、コロナ禍以降のインフレがひと段落を迎えたことにより、多くの先進国が政策金利の引き下げに転じ始めています 。預貯金などではお金を増やすことが難しくなり、一部の資金を金投資へシフトさせる動きもあるようです。
円安も価格上昇の要因です。一般的に金相場と米ドル相場は逆相関の関係にあり、米ドルが安くなると金相場は上がります。また、世界の金価格の基準は、英ロンドン市場が公表する1トロイオンスに対するドル価格です。日本国内の金価格は、そのときの為替レートで円換算し「1グラム=〇円」と公表しており、ロンドン市場の金価格が同じでも、円安が進むと金価格は上昇します。
上昇を続ける金相場ですが、上記に挙げたような状況が変化すると、一時的に価格は落ち着くかもしれません。しかしながら、金の採掘コストは高騰しており、埋蔵量も限られていることから「供給<需要」の構図は変わらず、長期的に価格が上昇する可能性が高いと考えられます。
投資のリスクヘッジに。インフレ下における金投資のメリットとは

物価と連動して価格を上げる金は、インフレ下における有効な投資先の1つです。日本でも近年はあらゆるモノの値段が上がっています。総務省が発表した消費者物価指数(2026年1月時点)では、変動の大きい生鮮食品を除いた総合指数が112.0(2020年を100とした場合)となり、前年同月比で2.0% 上昇という結果でした。インフレになると現預金の価値は目減りしますが、金価格はインフレに応じて上昇する傾向があるため、投資しておくことで資産の減少を防ぐ可能性があります。こと日本においては、円安トレンドも金価格の高止まりに影響を与えるでしょう。
ただし、インフレ時には株式をはじめとする金融商品の価格も上昇する傾向にあります。金自体は金利や利息を生みませんが、個別株や配当金投資信託なら、分配金といったインカムゲインを期待することができます。全資産を金に投じるのではなく、株式や投資信託、債券など他の資産と組み合わせて分散投資をすることで、リスクヘッジをしながら、より効果的な資産運用ができるでしょう。
では、金投資には具体的にどのような方法があるのでしょうか。ここでは大きく2つ紹介します。
■現物投資
現物投資とは、金そのものを購入することを指します。貴金属商や商社といった取扱業者を通じて、金地金や金貨などを購入するのが一般的です。文字通り「現物」が手に入り、購入した金を手元に置いておくことができます。購入した金を、貴金属商や金融機関に預ける人も少なくありません。ただし、現物保管には紛失や盗難リスクが伴い、購入時には手数料もかかります。
現物投資で有名なのは、毎月定額を買い付ける「純金積立」のサービスです。貴金属商や商社、金融機関がサービスを提供しており、毎月数千円といった少額から始めることができます。金価格が高いときは少量のみ購入し、安くなると多くの金を購入できるので、平均購入単価を平準化する「ドルコスト平均法」を適用できることも特長です。現物として引き出したり、時価で売却したりすることも可能です。ただし、積立の際には手数料が発生します。
■投資信託・ETF
金に投資する投資信託・ETFを購入する手もあります。ともに金価格の連動する投資成果を狙うものです。NISAの対象になっている銘柄であれば、利益に税金がかかりません。少額から始められるので、投資の初心者にも向いています。
ただし間接的に投資するため、金地金や金貨の現物が手に入るわけではありません。また、投資信託であれば信託報酬など、保有中にコストがかかります。
金投資は少額から始めることができ、インフレや有事に強いことが特長です。一方、利息や配当が生じることはなく、実物であれば紛失・盗難リスクも伴い、購入・保有時に手数料もかかります。株と併せて投資するなど、保有資産のバランスを考慮しながら慎重に取引しましょう。

