株式投資か、それとも不動産投資か——特徴と組み合わせを考える
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資産形成・資産運用の方法は多岐にわたります。なかでも代表的なのは、株式投資や不動産投資です。しかし、それぞれにどのような特徴があり、どのように実践すれば良いのでしょうか。それぞれについて解説するとともに、活用方法をご紹介します。
株式投資と不動産投資の特徴とは?
株式投資と不動産投資は、ともにキャピタルゲイン(売却益)とインカムゲイン(保有に対する利益)が期待できる投資の手段です。まずは、それぞれに仕組みやメリット・デメリットを掘り下げていきましょう。
■株式投資
上場企業の株式を売買する株式投資。株価は日々変動しており、安い時点で購入し、株価が上昇した後に売却すれば、売却益(キャピタルゲイン)が得られます。また、一部銘柄は、年1~2回、利益を投資家に還元する配当をしており、これが保有に対する利益(インカムゲイン)に該当します。
株式投資のメリットは、証券会社に口座を開設すれば、すぐに取引が始められることです。銘柄によっては、1万円以下で購入できる株式もあります。一般的に株式の購入単位は100株となっています。しかし、いまは1株単位で取引できる「単元未満株」のサービスもあります。証券会社や株式情報のポータルサイトでは投資判断や分析に役立つ情報やツールも提供されており、初心者でも始めやすい環境が整っています。
売却益や配当金とは別に、投資先企業のサービス割引券や商品・サービスなどが定期的に受け取れる「株主優待」を実施している銘柄もあります。一定以上の株式を保有している、あるいは一定期間以上保有しているなどの要件を満たすと対象となり、この特典を目的に保有する投資家も少なくありません。
投資利益が非課税扱いになるNISA(小額投資非課税制度)が用意されている点もメリットでしょう。証券会社等を通じて専用の口座を開設すれば即座に始めることができ、年間の投資上限が240万円の「成長投資枠」を活用すれば、売却益は課税の対象外になります。配当金においても、受取方法を株式数比例配分方式(証券口座で受領する)にしておけば非課税になります。
インフレに強いのも、株式投資のメリットです。インフレ時は、物価が上昇するとお金の価値が相対的に下がります。一方、株式は長期的に見ると物価上昇に連動する傾向があるため、インフレに対するリスクヘッジとして活用することができます。
また、株主になることで議決権が付与されるのも特徴です。議決権を行使することで、株主総会に参加して経営に関与したり、経済や金融の知識が身に付いたりすることもできます。
デメリットとしては、まずわかりやすいものとして、投資先企業の株価が購入後に下がれば損失が生じることでしょう。企業が倒産すれば投資元本そのものを失うリスクもあります。元本が保証されない点にも注意が必要です。
リスクを抑えてより効果的な投資をしていくには、株価やチャートの見方、企業業績やPER・PBRといった株価指標の分析など、さまざまな専門知識が必要になります。学習や情報収集が不足したまま株式投資をすると、投資判断を誤るリスクが高まります。
■不動産投資
マンション一棟や一室、アパート、戸建てといった賃貸住宅、テナントなどを購入し、運営する不動産投資。保有中はインカムゲイン(賃料収入)が得られ、不動産価格が上昇した後に売却すれば、キャピタルゲインも得られます。
一般的に、株式の購入代金は投資家自身が用意する必要があります。一方、不動産投資は銀行など金融機関の融資を活用できることもポイントです。毎月のローン返済が発生するものの、その原資を賃料収入でまかなえる設計にすれば、自己負担を抑えられます。自己資本ではなく「他人資本」で始められる点に、大きなメリットがあります。
ローン返済が終われば収益率は上がり、不動産という資産も手に入ります。返済中に、債務者の死亡や所定の高度障害になるといった万が一のことが起きた場合、団体信用生命保険に加入していれば残債が返済され、ローン残高のない物件を家族に相続することも可能です。
ただし、団体信用生命保険は任意での加入となるため、購入前に金融機関に確認が必要です。いずれの場合も、売却によってまとまった資金を得ることができます。
株式と同様、不動産もインフレ局面で相対的に有利になりやすい資産です。現物資産なのでインフレとともに資産価値が上がりやすく、物価上昇とともに家賃も引き上げやすくなります。お金の価値が下落するので、ローン借入額の実質的な目減りも期待できます。
ただし、賃貸物件は入居者がなければ賃料収入が得られません。空室が埋められない期間は、毎月のローン返済を本業の収入などで補填する必要があります。また、入居者募集や物件管理は専門の会社に任せるのが一般的です。オーナーに手間が生じない一方で、コストがかかります。
一般的に建物は築年数の経過とともに家賃も下がる傾向にあり、収益性は低下していきます。老朽化しても家賃が維持しやすい立地の物件を選ぶ、定期的に修繕を行う、スキルの高い管理会社に委託するなど、物件価値の下落リスクに備えた運用が必要になります。
また、不動産は地震や台風、洪水、火災といった災害に弱い特徴があります。損壊すると多額の修繕費用がかかり、入居者が出ていけば賃料収入も途絶えてしまいます。火災保険や地震保険への加入など、万一のための備えをしておくことが重要です。
投資にも一長一短。ハードルが低いのは株式投資

株式投資と不動産投資それぞれのメリットとデメリットを見てきました。両者を比較すると、どちらが有利で、始めやすいのでしょうか。
不動産投資の特徴のひとつに、安定性の高さがあります。株式に比べて市場の変動に強く、長期的に安定した収入につながります。立地や建物の管理体制などが良ければ、長期間にわたって空室リスクを低く抑えることもできます。
不動産投資に比較して、初心者でも始めやすいのが株式投資です。前述した通り、証券会社に口座を開設すれば、少額から始めることができます。不動産は初期投資額が大きく、融資を活用するにも勤務先や収入といった条件を満たさなければいけません。
複数の不動産を保有するにも多額の資金が必要です。一方で株式投資は、さまざまな銘柄に少額から投資することができ、リスクヘッジのためのポートフォリオを組みやすい特徴があります。不動産投資は、株式投資に比べて、資金面や審査面でハードルが高い投資であると言えます。また、株式は買い手が付きやすく現金化しやすいのですが、不動産は額が大きいだけに、株式ほどすぐには買い手が見つからず、簡単に現金化できるわけではありません。流動性は株式のほうが高いと言えるでしょう。
税金に関してはどうでしょうか。不動産には減価償却など、さまざまな節税対策が用意されており、これらを活用することで所得税や住民税を軽減することができます。現金に対して相続税評価額も低くなるので、相続対策として活用する人も少なくありません。
株式投資は売却益や配当金に対して一定の割合で課税されます。NISAなど税制優遇制度はありますが、上限が定められています。一概には言えませんが、より多額の節税をしたいなら、不動産投資のほうが有利といえるかもしれません。
「自己資金がある」「収入が安定しているため融資が活用できる」「安定した収益がほしい」「節税・相続対策をしたい」という人は不動産投資が良いかもしれません。一方で、「少額から始めて資産を増やしたい」「手軽に分散投資をしたい」「経済や企業分析が得意」という人なら株式投資が向いているでしょう。
株式投資で得た利益をもとに不動産投資を始める、あるいは、賃料収入を元手に株式を買うというように、両者を組み合わせた投資方法も考えることができます。一方に偏るよりも複数の手法を活用しながら、安定的で継続的な資産形成の方法を見つけていきましょう。

