過去には何人もの“億り人”を生み出したことも。「暗号資産」投資のメリット・デメリットを解説

資産形成の知識(投資の知識)

ビットコイン(BTC)をはじめ、イーサリアム(ETH)、リップル(XRP)など、現在はさまざまな種類の暗号資産がインターネット上で流通しており、個人が決済や投資目的で保有しています。とりわけ、暗号資産投資はダイナミックな価格変動によって大きく稼げると話題ですが、リスクがあることも事実です。ここでは、どのような特徴やメリット・デメリットがあるのか解説します。

送金しやすく、不正・改ざんできないデジタル通貨

暗号資産とは、国や中央銀行のような公的な発行主体・管理者が存在しない、デジタル通貨のこと。インターネット上でやり取りできる財産的価値であり、「資金決済に関する法律」では、次の性質を持つものと定義されています。

  • 不特定の者に対して、代金の支払い等に使用でき、かつ、法定通貨(日本円や米ドル等)と相互に交換できる
  • 電子的に記録され、移転できる
  • 法定通貨、または法定通貨建ての資産(プリペイドカード等)ではない

代表的な暗号資産には、ビットコインやイーサリアムなどが挙げられます。とりわけビットコインは2009年に誕生した世界初の暗号資産で、サトシ・ナカモトと名乗る人物またはグループにより発明されたとされています。現在は、数万種類以上の暗号資産が世界中で流通していますが、ビットコインに対してその他の暗号資産は「アルトコイン」と呼ばれており、いかにビットコインが特別な存在なのかがわかります。流通量も違いに大きく、同通貨の時価総額は200兆円を超えており、2位のイーサリアムの約36兆円の5.5倍以上を誇ります(2026年2月時点)。

ビットコインを含む暗号資産の特徴は、インターネット上で流通するため国境に関係なく世界中で24時間365日利用でき、現金と同じようにモノやサービスの対価として使うことができることです。日本でもビックカメラなどの家電量販店や、通販サイトなどの決済にビットコインが対応しています。2021年9月には中南米のエルサルバドル、22年4月には中央アフリカが同通貨を法定通貨に採用しました。銀行や国を介さないため、低コストで海外に送金することも可能です。

発行主体・管理者はいませんが、暗号資産では「ブロックチェーン技術」が活用されています。これは一定期間の取引の記録をまとめたブロックを、チェーンのようにつなげて順次取引の記録を追加するというものです。ブロックチェーン技術によって、インターネット上で利用者たちが取引を管理・監視する仕組みが構築されており、不正・改ざんが事実上不可能という特性も実現しているのです。

一方、暗号資産がメジャーな存在になるにつれ、詐欺やマネーロンダリングに利用されることが増加しました。2014年には、世界最大のビットコイン取引所だった「マウントゴックス」が破綻したことで、ネガティブなイメージも広がりました。

こうしたことを背景に国際的なルール整備が始まり、日本でも2016年に暗号資産の決済・取引に関わる「資金決済に関する法律(資金決済法)」が改正され、翌年4月から施行。暗号資産が財産的価値を持つことが明確に規定されたほか、暗号資産取引所の運営業者の登録が義務化され、本人確認義務も課されるなど、規制が強化されました。ちなみに、かつて日本では「仮想通貨」、国際的には「暗号通貨」と呼ばれていましたが、2018年の国際会議以降は「暗号資産」の名称に統一されています。

魅力とリスクの両面をもつダイナミックな値動き

インターネット上で24時間365日取引ができ、金融機関を通さずに低コストで送金できるといったメリットのある暗号資産。特に注目されているのが、値動きの激しい投資対象としての存在です。これまでに何度もバブルを起こし、1億円以上の資産を築く「億り人」を生み出してきました。

たとえばビットコインの場合、2017年半ばに23万円だったのが12月には235万円台まで上昇。コロナ禍の2020年も55万円台から翌年11月には733万円台まで上昇し、直近の価格は1000万円を超えています(2026年2月時点)。このように乱高下が激しく、億り人が出た反面、急激な下落に巻き込まれ、多額の損失を計上した人がいることも忘れてはなりません。

事業者によっては、FXと同じように口座資金を証拠金として使い、その何倍もの暗号資産を売買するレバレッジ取引もできます。国内運営事業者の場合は最大2倍がほとんどで、価格上昇で利益を狙うロングと価格の下落で利益を狙うショートの両方に対応しています。効率的に資金を使えますが、現物取引以上の損失を計上するリスクがあるため注意が必要です。

入手や換金は、「交換所(販売所)」や「取引所」と呼ばれる暗号資産交換業者を通じて行います。なお、暗号資産交換業は金融庁・財務局の登録を受けた事業者のみが行うことができます。それ以外の事業者を利用するのは危険であり、トラブルがあった場合も対処できないことがありますので、利用は避けましょう。

交換所と取引所の違いは、「誰と売買を行うのか」という点です。交換所では、事業者が保有している暗号資産を購入し、売却の際は事業者が提示するレートで売却することが決まり、買値と売値の差額が損益となります。希望する金額の暗号資産を購入することができ、売買のシステムがシンプルなのはメリットです。一方で、手数料や諸経費が掛かることや、交換所により取り扱うコインが異なるのはデメリットかもしれません。

取引所では、利用しているユーザー同士で暗号資産を売買します。株式のように取引板を通じて同じ価格で買いたい人・売りたい人がいると取引が成立し、事業者に仲介手数料を支払う仕組みになっています。一般的に初心者でも使いやすく、手数料が安価なのはメリットです。一方、取引が成立しないことがあることや、マイナーな通貨が扱われにくいことはデメリットでしょう。

暗号資産投資にはメリット・デメリットの双方があり、大切なお金をリスクにさらすことも理解しないといけません。“最悪の場合は失っても構わない”といった余剰資金で始めることが鉄則で、将来に必要なお金を投じてはいけません。

口座を開く前には、その暗号資産交換業者が、金融庁・財務局へ登録されているかどうかをチェックすることが大切です。また、株式やFXの利益には、一律、約20.315%の源泉分離課税が適用されますが、暗号資産の利益は雑所得扱いになるため、税率15~55%の累進課税が適用される点も注意しましょう。

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