長期投資に適した手法とは?「ドルコスト平均法」の効果を考える
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NISAのつみたて投資枠やiDeCo、証券会社で提供されている投信積立など、現在は毎月定額で金融商品を買い付ける「積立投資」のサービスが拡大しています。その理由は、「長期」で「分散」した投資をすることによって、リスクを抑えながら投資のパフォーマンスを高めることができるからです。
なかでも、金融商品の価格が変動しても、一定の金額で定期的かつ長期的に金融商品を購入し続ける資産運用の手法を、専門的に「ドルコスト平均法」と呼びます。ここではその効果やメリットについて考えます。
平均購入単価を抑えてリスクを軽減。タイミングを気にせず始められるのがメリット
資産運用について調べると「ドルコスト平均法」という言葉をよく耳にします。これは価格が変動する金融商品を「定額で」「定期的に」「長期的に」に購入し続ける積立投資の手法の一つです。
ポイントは、定額で購入し続けること。これにより価格に応じて購入量が調整されます。
- 購入する金融商品の価格が上昇しているとき:割高で購入するが、購入量は少ない
- 購入する金融商品の価格が下落しているとき:購入量を増やし、割安で購入できる
たとえば、毎月1万円を投資する場合、購入価格が1,000円のときは10口、2,000円のときは5口購入することになります。この場合の平均購入単価とは、トータルの購入額を口数(株数)で割った金額を指します。価格が変動する中でも、定額での定期購入を継続することで平均購入単価を平準化でき、価格変動リスクを軽減することが期待できます。
定額の長期投資でリスクを軽減
具体的な数字で考えてみましょう。たとえば、ある投資信託の価格が1口あたり100円、150円、90円と推移した場合、毎月「定額」で購入したケースと、「定量」で購入したケースを比較すると、次のような結果になります。
①毎月3000円の「定額」購入の場合
初月:30口+2か月目:20口+3か月目:33.33口=合計83.33口
購入 9,000円÷83.33口=平均購入単価:約108円
②毎月20口の定量購入の場合
初月:2,000円分+2か月目:3,000円分+3か月目:1,800円分=合計6,800円分
6,800円÷60口=平均購入単価:約113円(113.33円)
①の定額購入(ドルコスト平均法)で買い続けたほうが、②の定量購入に比べて、1口あたりの平均価格は5円(約5.3円)安くなりました。一方、毎月決まった口数で購入する定量購入は、当然ながら価格が高いときに投資金額が増えています。両者を比べると、ドルコスト平均法は時間が経過するごとにリスクを抑制しやすくなるといえるでしょう。
なお、一括投資の場合は「安く買い、高く売る」ことが利益を得るための基本です。短期的に利益を得ようとしている場合は、日々の価格変動を注視し、売買のタイミングを見極める必要があります。一方、ドルコスト平均法では購入価格が平準化されるため、購入タイミングにこだわる必要がありません。
少額から始めることができ、初心者向きの投資手法
ドルコスト平均法は、最初に購入期間や金額を決めて積み立てる設定をしておけば、その後は設定範囲内で定期的に買い付けします。投資初心者でも始めやすく、一括投資のような入念な相場分析は必ずしも必要ではありません。
また、一括投資では購入時にまとまった資金が必要ですが、ドルコスト平均法は無理のない金額で始めることができます。たとえば、100万円を投資する場合、一括投資では100万円が必要ですが、ドルコスト平均法なら毎月1万円ずつ投資するなら100回、5,000円ずつ投資するなら200回というように金額を調整できます。毎月の家計から計画的に捻出でき、継続しやすい点もメリットです。
積立投資のサービスは多くの証券会社が提供しており、毎月100円からなど、少額投資にも対応しています(最低投資額は証券会社ごとに異なります)。いま利用者が増えているNISAの「つみたて投資枠」やiDeCoは、投資家が金融商品を選んで毎月の投資額を決める仕組みであり、ドルコスト平均法を活用できるだけでなく、運用益が非課税となるメリットもあります。積立投資を始めるなら、こうした税制優遇制度を活用すると良いでしょう。
あくまでも「長期的」に取り組む

ドルコスト平均法には、さまざまなメリットがあるとわかりましたが、良いことばかりではありません。デメリットについても確認しておきましょう。
・短期売買には不向き
ドルコスト平均法は、上下しながらも長期的に価格の上昇を見込むことができる金融商品を購入し続けることで、資産を増やしていく手段です。すぐに効果が現れるとは限らず、例えば始めた直後に価格が下がると含み損が生じます。こういった時に焦って損切りをするのではなく、むしろ安く購入するチャンスと捉えることが大切です。資産が形成されるまでにはある程度の時間がかかることを自覚し、長期目線で臨みましょう。
一括投資の場合、まとまった金額で金融商品を購入し、直後に価格が上昇したタイミングで売却すると利益を得られますが、ドルコスト平均法では、そういった効果はあまり期待できません。
・価格が下がり続けると利益は生まれない
ドルコスト平均法は、長期的に価格が上昇する金融商品に対して、効果を発揮します。仮に開始後から一貫して価格が下がり続けると、多くの数量を買い付ける半面、利益は生まれません。手軽に始められることは事実ですが、商品選択を誤ると資産は形成されないので注意が必要です。また、価格が右肩上がりを続けている場合も、利益は得られる可能性があるものの、一括購入より最終的な利益は小さくなる可能性があります。
・購入時手数料がかさむ場合がある
投資信託を購入する場合、手数料などの支払いが発生することがあります。たとえば、申込時にかかる購入時手数料、保有中にかかる信託報酬などです。購入時手数料がかかる商品の場合、一括投資であれば、購入時手数料は基本的に一度だけで済みます。一方、ドルコスト平均法は定期的に購入を繰り返すので、長期になればなるほどコスト負担が重くなります。購入時は、購入時手数料が低水準または無料の金融商品を選ぶと、コストを低く抑えることができます。
ドルコスト平均法は長期的な資産形成に向いた手法です。ただ、売却の直前に価格が急落すると含み益から含み損に転じる恐れもあります。複数の金融商品でドルコスト平均法に取り組むなど、分散投資をすることも考慮しながら、長期的な視野で活用していきましょう。

