【世代別投資戦略】20代の未来をつくる資産形成の第一歩
公開日: 更新日:
目次
社会人になったばかりの20代の方は、学生時代に比べて趣味や遊びへの出費が増える方が多いのではないでしょうか。しかし結婚や出産、子育て、住宅購入などのライフイベントに向けて、将来の備えを始めておきたいタイミングでもあります。いまの生活を楽しみながら、今後のお金の問題に備えるにはどうすれば良いのでしょうか。ここでは、20代の資産形成について、押さえるべきポイントをまとめました。
20代は資産形成のスタートライン。時間を味方につけて長期的に取り組もう
近年、労働力不足やインフレを背景に初任給の水準を引き上げる企業が増えています。とはいえ、社会人になって間もない20代の収入は決して多くありません。国税庁の「令和6年分 民間給与実態統計調査」によると、20~24歳の平均給与は約277万円、25~29歳で約406万円と、日本人の平均年収478万円 に比べると低いという実態があります。
収入がまだ比較的少ないので、金融資産も潤沢には保有していない人がほとんどです。金融経済教育推進機構の「家計の金融行動に関する世論調査(2025)」によると、世帯主が20代の家計(2人以上世帯)の金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)は平均で525万円、中央値は125万円でした。
金融資産の内訳は預貯金が211万円と最も多く、次いで投資信託(79万円)、株式(61万円)、財形貯蓄(35万円)、生命保険(28万円)、個人年金保険(24万円)という順番です。世帯主が30代の家計(2人以上)の金融資産保有額の平均が1,096万円、中央値は311万円]であり、20代の金融資産保有額が少ない傾向にあることがわかります。
20代は独身が多く、明確なライフイベントも決まっておらず、つい浪費しがちです。資産形成についても「本腰を入れるのはまだ先」と考えている人も多いかもしれませんが、資産形成を始めるなら早いほうがメリットが多くなります。
たとえば、65歳の定年を迎えた時点で2000万円を準備する場合、20年で貯めるには毎月約8万3000円が必要ですが、40年使えるなら約4万2000円で済みます。毎月の負担を抑えるには、少しでも早くから資産形成を始めるほうが良いでしょう。
時間をかけられることで、比較的値動きが大きい株式や投資信託に投資することもできます。一般的に、これらの金融商品は値動きを繰り返しながら価格を上げていきます。短期間では買った後に価格が下落するとリカバリーが難しくなりますが、長期運用なら一時的に下落しても、その後の再上昇を待つ余裕があります。価格の変動に振り回されることがないばかりか、下落局面は安値で購入できる機会と捉えることもできます。
大きな複利効果も期待できます。複利効果とは、運用で得られた利益を元本に組み入れて運用することで、投資の利益がさらに次の利益を生み出すことです。他方、運用で生まれた利益を受け取り、当初の元本のままの金額で運用し続ける方法を単利と呼びます。
単利と複利では、同じ利回りでも結果は大きく異なり、複利のほうがリターンは大きく増えていきます。複利効果を高めるに重要なのが、運用期間を長くすること。資産形成に早く取り組むほうが、複利を活かした投資には有利になるのです。
20代は、上の世代に比べて収入は少ないものの、独身の人や、結婚していても出産や子育て、住宅購入はまだ先という人が多いでしょう。子育て世帯に比べて支出を抑えられ、自由に使えるお金もあるため、一部を資産形成に回すことができます。
資産運用を考える際に重要なのは、「収入から生活費などを差し引いて、余った分を資産運用に投じよう」という考え方をしないことです。支出を優先した家計では、いつまでたっても資産は増えません。むしろ収入から資産形成分を先に取り分け、残ったお金を生活費に充てるほうが、計画的かつ継続的な資産形成ができるようになります。
預貯金とのバランスを見て、資産の一部をつみたて投資に回す

いざ資産形成を始めるとして、すべての資金を株式や投資信託といったリスク商品に投じてはいけません。急な出費などに備え、最低でも目安として生活費の半年分は預貯金として置いておきましょう。
そのうえで、資産形成にはどういった金融商品を選べば良いのでしょうか。投資の初心者にお勧めなのが、毎月定額で投資信託を買い付ける「投信積立」です。
多くの証券会社がサービスを提供しており、なかには毎月100円から始めることできるものもあります。少額なら毎月の給与から捻出することができ、給与が増えて家計に余裕が生まれてくれば、積立金額を増やせば良いのです。
また、毎月決まった額の投資信託を買い付けるということは、価格が安いときは多くの口数を買い、高いときは少ない口数を買うということになります。これにより購入平均単価が平準化され、高値掴みのリスクを軽減できます。この手法を「ドルコスト平均法」と呼び、時間をかければかけるほど、その効果が高まりやすくなります。
投信積立は、国の税制優遇制度を活用して始めることもできます。その1つが、少額投資による利益を非課税扱いにできる「NISA(少額投資非課税制度)」です。
同制度には、大きく2つの投資枠が用意されています。1つは、株式や投資信託が運用対象で、年間240万円まで買い付けることができる「成長投資枠」。もう1つは、金融庁が「長期・積立・分散」に適すると判断した投資信託を毎月定額で、かつ年間120万まで買い付けることができる「つみたて投資枠」です。つみたて投資枠を利用すれば、手軽に投信積立を始めることができます。配当金においても、受取方法を株式数比例配分方式(証券口座で受領する)にしておけば、非課税になります。
もう1つは、公的年金(国民年金・厚生年金など)にプラスして給付を受けられる私的年金制度の「iDeCo(個人型確定拠出年金)」です。加入は任意で、運用商品の選定、毎月の掛け金の拠出は自分で行い、原則60歳以降に掛金と運用益との合計額をもとに給付を受け取ることができます。
運用対象は投資信託や預貯金、保険商品など。毎月の拠出金は全額所得控除の対象となり、運用から得られた利益は非課税扱いで、受取時も控除が適用されます。拠出金は60歳まで引き出すことはできないので、家計に無理のない範囲で拠出金を決める必要がありますが、ある程度の強制力を持たせて長期の資産形成ができる制度と捉えることもできます。
20代から資産形成を始めることには多くのメリットがあります。資産形成にまつわる制度も拡充されているいま、将来に向けてできるところから始めてみてはいかがでしょうか。

