長期投資に向いた銘柄はどう選べばいい? 配当貴族銘柄の魅力と選び方

資産形成・運用

株式投資の魅力といえば、株価上昇によるキャピタルゲイン(売却益)を思い浮かべるかもしれませんが、株式の保有によって受け取れるインカムゲイン(配当金)も大切な利益です。現在はNISAの普及も手伝い長期投資のニーズが高まっており、配当目当てで銘柄を選ぶ人も増えているのではないでしょうか。そうしたなか注目を集めているのが、長期的に配当を増やしている「配当貴族銘柄」です。

増配を続ける優良企業「配当貴族銘柄」

配当貴族銘柄とは、長期的に増配を続けている企業のことです。株式投資で得られる利益には、値上がり益のキャピタルゲインと、配当によるインカムゲインがあります。企業の成長に伴い株価は上昇し、中には数倍〜数百倍に達することもあるため、キャピタルゲインが魅力的ではありますが、株式の保有中に定期的に受け取れる配当に注目する人も少なくありません。

企業にとっても、配当を出したり増配をしたりすることは安定株主の確保につながり、近年は配当政策を重視するケースが増えているようです。いずれにしても、配当貴族銘柄は投資家にとって魅力的な存在です。

数ある配当銘柄のなかから、どのように配当貴族銘柄を探せば良いのでしょうか。アメリカでは、一定期間以上、継続して増配を実施している優良企業を集めて算出した「配当貴族指数」があり、特にS&P500の構成銘柄のうち25年連続で増配している企業を集めた「S&P500配当貴族指数」が広く知られています。

S&P500配当貴族指数は、先述した25年以上の連続増配に加え、「時価総額30億ドル以上」といった基準もあり、各銘柄のウエートは均等投資(3カ月ごとにリバランス)、構成銘柄は年に一度見直されます。常に鮮度の高い高配当銘柄で構成されていることがわかります。

ただ、やはり毎年増配を続けることは簡単ではなく、条件を満たすのは69銘柄しかありません(2025年12月末時点)。これらを均等割合で平均化した指数が、先に挙げた「S&P500配当貴族指数」です。

S&P500配当貴族指数の特徴についても見ていきましょう。特長の1つは、安定した収益を期待できる銘柄で構成されている点です。S&P500配当貴族指数に採用される企業は、「参入障壁が高く事業の安定性が高い」「連続増配が可能な収益性がある」「株主還元を重視する経営体制を持っている」などの傾向があります。構成銘柄を見ると、エクソン・モービル、プロクター・アンド・ギャンブル、シスコ、ペプシコなどが含まれ、生活必需品から金融、ヘルスケアなど幅広いセクターに分散しています。

一方、近年のS&P500はマイクロソフトやアップル、エヌビディアといったグローバルIT企業が構成銘柄の上位を占めています。これらの企業は利益を配当ではなく成長投資に充てたり、株価の変動も大きくなったりしがちです。

なお、構成銘柄の連続増配の平均年数は約43年(2025年2月1時点)と、基準の25年を大きく上回ります。連続増配を実現している企業は、市場全体が悪化した時も相対的に下げに強い傾向があります。

個人投資家はETFや投資信託を通じて取引できる

配当貴族銘柄は、先に取り上げた銘柄の株式を購入することで投資できます。現在は、米国株式を扱う証券会社が多くあります。NISAの成長投資枠を通じて保有すれば、受け取った配当金は(国内の税金のみ)非課税扱いになります。一方、海外の税金は課税対象となり、源泉徴収されます。

個別株への投資が不安、あるいは複数銘柄を保有する資金的な余裕がない場合は、投資信託やETFを選ぶ手もあります。選択肢としては、たとえば、「Tracers S&P500配当貴族インデックス(米国株式)」や「米国株式配当貴族」「野村インデックスファンド・米国株式配当貴族(為替ヘッジあり・なし)」「SMT 米国株配当貴族インデックス・オープン」「グローバルX S&P500配当貴族ETF」などです。

いずれもS&P500配当貴族指数に連動する投資成果を目指す投資信託やETFです。NISAに対応している商品もあり、個別銘柄と同じく国内の税金のみ非課税で運用できます。

さらに、米国株には50年以上にわたり連続増配を実現している企業もあり、これを「配当王」と呼びます。たとえば「iFreePlus米国配当王(資産成長型/年4回決算型)」といった投資信託があります。銘柄数は52銘柄(2026年2月27日時点) で、各銘柄へは基本的に均等投資を行い、リバランス(投資比率の調整)も毎月実施。年1回、構成銘柄を入れ替えます。アメリカン・ステーツ・ウォーター(連続増配71年)、コカ・コーラ(同63年) などで構成されています。

一方、個別株・投資信託のいずれに投資するにしても、外国株式に投資する際は、為替リスクに注意しなければいけません。購入後に円安に振れると値上がり益や配当額は増えますが、円高にシフトすると減ってしまいます。

「為替リスクを負いたくないので、国内の配当貴族銘柄に投資したい」と考える人もいるでしょう。日本でも、日本取引所グループと東京証券取引所、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが共同し2015年12月から、日本版の配当貴族指数「S&P/JPX配当貴族指数」の算出を始めました。これはTOPIX構成銘柄のなかで時価総額500億円以上、1日3億円以上の売買代金、10年以上にわたる配当水準の維持または増配した銘柄で構成されています。

2026年2月27日時点では、インフロニア・ホールディングス、小野薬品工業、セントラル硝子、ノーリツ鋼機、三機工業、東京建物などが組入れ上位となっています。「One ETF 高配当日本株」「SMT 日本株配当貴族インデックス・オープン」など、同指数に連動する投資成果を目指す投資信託もあり、こういった商品を検討するのも良いでしょう。あるいは、同指数に組み入れられている個別株に投資するのも選択肢のひとつです。

配当貴族銘柄にこだわらないのであれば、高配当がテーマの投資信託もあります。証券会社や株式情報サイトで配当利回りから検索すると、高配当の銘柄を探すことができます。ただし、円建ての商品であっても投資信託や個別株は元本保証の金融商品ではありません。くれぐれもリスクに注意しながら投資していきましょう。

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