投資信託の基本。「単位型」と「追加型」の違いとは?
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老後資産の形成やNISAでの資産運用をきっかけに、投資信託を購入する人が増えています。その際、目論見書(もくろみしょ)や証券会社のサイトに書かれた「単位型(ユニット型)」「追加型(オープン型)」といった表記を目にしたことはないでしょうか。これらは投資信託の仕組みの違いであり、どちらを選ぶかで運用の自由度は大きく変わります。ここでは投資信託の基本をおさらいするとともに、両者の違いについて解説します。
そもそも「投資信託」とは?
単位型と追加型の違いを理解する前に、まずは投資信託の基本的な仕組みをおさらいしましょう。
投資信託とは、投資家から集めたお金を、大きな一つの資金(ファンド)としてまとめ、運用の専門家(ファンドマネージャー)が、国内外の株式や債券、不動産などに分散投資し、運用で得た収益を投資家それぞれの投資額に応じて還元する、金融商品です。個人が直接100銘柄の株式を買うのは資金面や手間の面で難しくても、投資信託を通じれば少額から世界中の資産にアクセスできるのが最大の特徴と言えます。
個人が株式や債券を選んで投資する場合、市場や企業の分析、売買のタイミングなど一定の知識が求められます。一方で投資信託は、運用をプロに任せられるので、投資経験が浅くても始めやすい商品です。
なお、投資信託の販売・運用・管理は主に、「販売会社」「運用会社」「信託銀行」という3つの機関が役割を分担しています。証券会社や銀行といった販売会社は投資家との窓口となり、購入・解約の手続きを担います。運用会社は投資の方針を決定し、運用を担当します。信託銀行は投資家のお金(信託財産)を分別管理し、運用会社や販売会社が破綻しても資産が保全される仕組みを担保します。
「単位型投資信託」と「追加型投資信託」は、投資信託において、資金をいつ集めるのか(募集)、いつまで運用するのか(運用)についてのルールがそれぞれ異なる仕組みです。それぞれ見ていきましょう。
単位型投資信託は、募集期間だけ購入が可能
「単位型投資信託」とは、投資信託が新たに設定される際の「募集期間中」にのみ購入できる投資信託のことです。募集期間が終了すると、原則として資金の追加受け入れはされません。「ユニット型」とも呼ばれます。
単位型のメリットは「安定した運用」が実現しやすい点です。運用開始後に新たな資金流入や解約が起こりにくいため、運用資金の規模を安定させることができます。これにより、ファンドマネージャーは、投資家の売買動向など外部要因に左右されずに、当初の運用計画を忠実に実行しやすくなります。
こうした特性を活かし、単位型はあらかじめ運用期間が決まっている投資信託で用いられます。数年程度の運用期間が設定され、その期間が終了すると償還され、投資家には運用結果に応じた資金が払い戻されます。
一方で、投資家にとっては流動性が低い点がデメリットです。募集期間を逃すと購入できないほか、一切の解約・換金が認められない「クローズド期間」が設けられることもあります。クローズド期間の経過後は、換金可能になります。しかし、換金時は「信託財産留保額」が割高に設定されている場合もあります。中途換金には不向きな商品と言えるでしょう。
追加型投資信託は、いつでも購入・解約が可能
「追加型投資信託」とは、ファンドの運用期間中、投資家が原則としていつでも購入・解約できるタイプの投資信託です。毎営業日に基準価額が算出され、投資家はその価格をもとに売買します。「オープン型」とも呼ばれ、NISAのつみたて投資枠で購入できる投資信託など、日本の投資信託市場で流通している商品の大多数がこのタイプです。
その大きなメリットが、流動性の高さです。投資家はいつでも購入できるため、市場環境や自身の資金状況に応じて追加購入したり、一部または全部を解約して現金化したりできます。毎月一定額を自動で購入する「積み立て投資(ドルコスト平均法)」にも適しており、投資家自身の都合に合わせて活用できます。
ただし、運用するファンドマネージャーにとっては、難しい面もあります。相場が好調なときは次々と新しい資金が入り運用規模を拡大できます。一方、相場が不調なときは株価が暴落して投資家からの解約が殺到する事態に陥ります。
解約資金を準備するため、本来は売るべきでない優良な株式や債券を手放さざるを得ない状況に追い込まれることもあるかもしれません。追加型は、他の投資家の行動が自分の投資成果に間接的な影響を及ぼすリスクのある投資信託と言い換えることもできます。
投資家が注意すべきポイント
単位型と追加型の違いを理解するうえで、投資家が注意すべきポイントがあります。順に見ていきましょう。
注意点① 解約するときのリスク
単位型投資信託を保有する投資家が直面しやすいのが、「資金需要があるのに解約できない」という問題です。クローズド期間中は原則として受け入れてもらえず、以降も高いコストが発生します。生活防衛資金を投入してしまうと緊急時に対応できません。余剰資金で投資することが重要です。
一方、追加型投資信託は流動性が高い分、相場が大きく崩れて投資家の解約が集中すると純資産総額が減り、一定水準を下回ると運用継続が困難と判断され、投資信託が解散・精算されるケースがあります。特に規模の小さい追加型投資信託は繰り上げ償還リスクが高く、運用途中で強制的に換金される可能性があります。
注意点② 換金のタイミング
満期まで資金を引き出せない単位型投資信託には、「数年後に子どもの教育費に使うかもしれない」「住宅ローンの頭金に使うかも」といった、途中で引き出す可能性のある資金を投じるべきではないでしょう。満期のタイミングと自身のライフプランを照らし合わせ、資金需要に合わせたタイミングで現金化できるよう、あらかじめ準備しておくことが大切です。
単位型・追加型の効果的な活用法
単位型と追加型、それぞれの投資信託をどう活用すれば良いのでしょうか。観点のひとつが、資産形成の土台となる部分には、追加型投資信託を活用するということです。
NISAのつみたて投資枠で全世界株式や米国株式などの幅広い市場に分散投資する商品を毎月定額で買い付けることで、市場の暴落時はドルコスト平均法が機能し、長期目線で資産を増やすことができます。
単位型が有効なのは、「一定期間は使わない」と決めている余裕資金があり、明確な満期に向けて運用するケースです。「10年後の子どもの大学進学費用を運用する」といった用途であれば、クローズド期間を受け入れられるでしょう。あるいは、高い金利が設定される単位型の債券ファンドに一括投資をして、その時点の高い利回りを満期まで固定的に享受するといった活用法が考えられます。
ただし、現在は単位型の新規設定は極めて少なく、個人投資家が購入する機会はほぼないと言ってよいでしょう。そのため、実務上は追加型をメインに据えつつ、用途に合わせて投資信託を選ぶのが基本となります。
「いつ売れるか」を考える
単位型と追加型の大きな違いは流動性です。原則としていつでも購入・解約できる追加型投資信託は資産形成の主役であり、投資初心者から上級者まで幅広く活用されているのが現状です。対する単位型は設定時しか購入できず、活用シーンが限られます。
投資信託を選ぶ際は、投資対象や過去の実績、信託報酬に目が向きがちですが、すぐに資金がいる場合や、市場環境の変化に対応することを考えると、「いつ解約できるか」という視点も同じくらい重要です。
何よりも、単位型・追加型の違いを学ぶこと通じて、自身のライフスタイルを考慮し、商品を選ぶ目を養うことが大切です。これを機に、自身が保有・購入を検討している投資信託について改めて学び、資産形成・運用のスキルに磨きをかけていきましょう。

