自分の資産運用方針に合った「投資信託」を選ぶには?
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資産形成の手段として、投資信託を活用する人が増えています。少額から分散投資ができ、専門家に運用を任せられることから、投資の初心者でも取り組みやすく、手間がかからないのがその理由です。
しかし、いざ選ぼうとすると数多くの商品のなかから何を選べばよいのか迷うケースもあるでしょう。本記事では、投資信託の基本からメリット・デメリットを整理したうえで、ライフステージやリスク許容度に応じた選び方、NISAの活用法、取引時の注意点を解説します。
投資信託の基本をおさらい
日本国内の公募投資信託の数は、2026年2月時点で約5800本。証券会社により取り扱う商品は異なりますが、これだけあると自分に合ったものを選ぶのは大変です。「話題の商品を買ったけど、これでよいのか不安」「なにを選べばいいのか迷う」と思うのも無理はありません。
投資信託の選び方の前に、商品の基本をおさらいしましょう。理解するためのキーワードは「集める・任せる・分散する」の3つです。投資信託は、多くの投資家から資金を集め、専門の運用会社に株式・債券・REITなどへの投資判断を任せて、多数の銘柄に分散して運用する商品です。この仕組みにより、個人では難しい少額からの世界規模の分散投資が可能です。そこから得られた利益が、それぞれの投資額に応じて投資家に還元されます。
投資信託の価格は「基準価額」として算出され、1万口(もしくは1口)あたりの純資産価値で表示されます。注文はその日の取引終了時に確定する「ブラインド方式」を採用しているため、株式のようにリアルタイムの価格を見ながら売買することはできません。
運用スタイルは大きく分けて2種類あり、日経平均株価やS&P500といった特定の指数に連動する運用成果を目指す「インデックスファンド」と、運用の専門家であるファンドマネージャーが銘柄を選び指数を上回る利益を積極的に狙う「アクティブファンド」に分けられます。近年は、手数料が安く値動きがわかりやすいインデックスファンドが資産形成のトレンドです。
投資信託のメリット・デメリットを整理
メリットとしてまず挙げられるのが、「少額から分散投資ができる」という点です。通常、個別株の場合、複数の株式を自分で買いそろえるには数十万~数百万円の資金が必要となります。対して投資信託の場合、ネット証券を利用すると100円から購入でき、少額で世界中の企業や債券など、幅広い資産にリスク分散できる魅力があります。
専門家に運用を任せられるのもポイントです。個人が市場分析や銘柄を選定するのは至難の業です。しかし、投資信託はファンドマネージャーが経済情勢を見極めて銘柄の選定・組み入れなどをするので、高度な専門知識がなくても投資を始められます。
ほったらかしで運用できるのもメリットです。一度積み立ての設定をすると、毎月決まった日に決まった額が自動で買い付けられます。感情に左右されず、機械的に資産形成を継続できる仕組み作りが簡単に構築できます。
一方で、デメリットもあります。まずは、預貯金などと異なり元本保証がないことです。運用成績によっては投資元本を下回るリスクがあります。経済危機などで市場全体が暴落すると、一時的に大きな損失を抱える可能性が生じます。
コストもネックのひとつです。投資信託には、購入時にかかる「買付手数料」(近年は無料のノーロード商品が主流)、保有時に継続して差し引かれる「信託報酬」、解約時に発生する「信託財産留保額」の3つがあります。購入手数料は、ノーロード(無料)や低額の商品も多くあります。一方、信託報酬は長期運用において、リターンを大きく左右します。
「年齢」や「ライフステージ」を考慮した、商品選びのポイント

リスク許容度の他に、自身の年齢やライフステージも考慮するとよいでしょう。年齢に応じた商品選びのポイントを解説します。
ケース① 20~30代
この世代は、「運用期間の長さ」が資産形成の武器になります。老後まで20~30年の時間が確保できるため、一時的に市場が暴落しても、将来的な回復を待つことができます。
そのため、全世界株式(オール・カントリー)や米国株式のインデックスファンドなど、リスクを取って高いリターンを狙う商品が選択肢になるでしょう。これらを毎月コツコツ積み立てるのも一手です。
ケース② 40~50代
教育資金や住宅ローンの返済など支出がピークを迎える一方で、将来に向けた資産形成に本腰を入れる時期です。資産が大きく減るとリカバリーの時間が限られるため、リスクの取り過ぎには注意が必要となります。
株式だけではなく、値動きが緩やかな債券を含んだバランス型ファンドで守りを固める、あるいはコアとして全世界株式を積み立てつつ、サテライトとして配当金を重視する投資信託を組み入れ、キャッシュフロー強化を図る手もあるでしょう。
気をつけたいのは、子どもが生まれる、私立の中学校に通わせるなど、支出が膨らむライフイベントによって積み立てを中断してしまうことです。積立額を少額に減らしてでも継続すれば、資産は育ちます。
ケース③ 60代以降
この世代は、これまで築いた資産を守りながら取り崩すフェーズに入ります。給与収入は減少するか、なくなるため、大きな損失は致命傷になりかねません。価格変動リスクの高い株式の比率を下げ、国内外の債券を中心とした保守的な投資信託へシフトすることがおすすめです。
資産の目減りを抑えながら、インフレによるお金の価値の低下を防ぐ「運用しながら使う」スタイルを目指しましょう。加えて、退職金の運用を検討することも重要です。
リスク許容度に応じた投資信託の選び方
投資信託選びは、年齢やライフステージだけではなく「リスク許容度」も重要な判断基準となります。リスク許容度とは「投資した資産が目減りした場合、精神的・経済的にどこまで耐えられるか」という度合いです。
リスク許容度が高い人は、株式型や新興国市場に投資する商品など、値動きが大きい分リターンも期待できる商品も選択肢に入ります。対してリスク許容度が低いなら、債券型やバランス型といった値動きが比較的安定しており、大きな損失を避けやすい商品を中心に選ぶとよいでしょう。
大切なのは「どのくらいの損失なら耐えられるか」を事前に考えておくことです。想定以上の下落に直面すると、冷静な判断ができなくなります。「感情」と「経済的余裕」の両面から、自分自身を客観的に評価して商品選びに反映させましょう。
NISAの活用は要チェック
投資信託の運用では、NISA(少額投資非課税制度)を活用する人が増えています。通常、投資で得た分配金や売却益といった利益には、20.315%の税金がかかります。しかし、NISA口座を通じて取引すると、分配金や売却益は非課税扱いとなります。
現行のNISAには、金融庁が長期・積立・分散に適していると認めた投資信託を積み立てる「つみたて投資枠」(年120万円)と、株式なども対象となる「成長投資枠」(年240万円)の2つがあります。両者は併用が可能で、生涯非課税限度額は1800万円(うち成長投資枠は上限1200万円)に設定されています。
つみたて投資枠の対象は、金融庁の基準を満たした投資信託の商品に限られています。そのため、投資の初心者が手軽かつ安心に積立投資を始めるのに向いていると言えます。まずはここから始め、毎月定額を全世界株式や米国株式インデックスファンドに積み立てるのが、効果的で堅実な方法です。
成長投資枠は対象商品が広く、個別株やETFなどにも投資ができます。つみたて投資枠を使いながら、こちらでは余剰資金を使い、気になる企業の株式を保有したり、テーマ型の投資信託、REITを組み入れたりするなど、分散の幅を広げる活用法があります。
投資信託を取引する際の注意点
投資信託の取引では、どのような点に注意すれば良いのでしょうか。3点に分けて解説します。
注意点① コストを意識する
信託報酬や購入時手数料などは商品ごとに異なります。長期運用を前提とする場合は低コストの商品を選びましょう。
注意点② ランキングや口コミに流されない
証券会社や株式情報サイトなどの「買付ランキング」や「利回りランキング」は、情報収集として参考になります。しかし「参考」程度にとどめることが大切です。
AIや半導体など、特定の産業に集中投資する「テーマ型投資信託」は一時的に高いリターンになることはあります。ただし、流行が去ると急落するリスクをはらんでおり、コストも割高な傾向があります。コストや純資産の規模・推移、運用哲学の一貫性など、長期的に安定運用できる目線で選びましょう。
注意点③ 暴落時に慌てて売らない
投資信託でよくある失敗は「暴落時に慌てて解約する」ことです。リーマンショック後に解約した人のなかには底値で手放し、その後の回復を逃した人もいました。S&P500に連動する投資信託はコロナショック後に大きく下落しましたが、その後は急速に回復しました。
市場の下落は一時的なノイズの可能性が高く、長期の積立投資においては「同じ金額でより多くの口数を安く買える局面」という考え方もあります。淡々と積み立てを継続できるかどうかが、運用の成否を分けます。
長期で持ち続けられる投資信託を選ぶ
リスク許容度の範囲内で、安心しながら長期で持ち続けることができる。そんな商品が見つかれば、「自分に合っている」と言えるでしょう。まずは自分はどの程度のリスクまで許容できるのかを明らかにしてみましょう。低コストのインデックスファンドを軸にNISAで積み立て投資を始めるのが、投資を始めたばかりの個人投資家にとって最善策と言えそうです。
また、結婚、出産、転職、退職といったライフステージの変化に合わせて、数年に一度はポートフォリオを見直すことが大切です。市場の変化に一喜一憂するのではなく、ライフプランに寄り添う投資信託を見つけ、着実な資産形成を実践しましょう。

