海外の成長を資産形成の味方につける。「外国株投資」の始め方
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Apple、Google(Alphabet)、Amazonなど、私たちは日常生活で、外国企業のサービスに数多く接しています。こうした世界を牽引する企業の成長を、自分自身の資産形成・運用に取り込めるのが「外国株投資」です。ここでは外国株の定義から、日本で外国株への投資を始める手順、知っておくべき注意点を解説します。
そもそも「外国株」とは?
外国株とは、文字通り「日本以外の外国の取引所に上場している株式」のことです。日本の証券会社を通じて投資できる外国株には、主に以下のような市場があります。
・米国株(アメリカ)……世界最大の株式市場。ニューヨーク証券取引所(NYSE)やナスダック(NASDAQ)があり、グローバル企業や大手テック企業が数多く上場。
・中国株……香港証券取引所などに上場する企業。アリババやテンセントなど巨大IT企業が名を連ねる。
・欧州、インド、新興国株など……欧州やインド、ASEAN諸国などの企業の株式。
なかでも圧倒的な人気と規模を誇るのが、米国株です。世界の株式市場の時価総額の約半分を占めており、常に新しい成長企業が誕生しています。世界経済をけん引する「マグニフィセント・セブン(Apple、Microsoft、Alphabet、Amazon、Meta、NVIDIA、Tesla)」はすべて米国企業であり、こうした巨大企業が米国市場に上場しています。個別株だけではなく、S&P500など指数連動型のETF(上場投資信託)、非米国企業が米国市場に上場するADR(米国預託証券)など、さまざまな投資対象が用意されている点も魅力といえるでしょう。
米国株の魅力は圧倒的な成長と株主還元
日本国内にも優れた企業はありますが、あえて米国株に投資する理由は、それだけのメリットが期待できるからです。
まず挙げられるのは、経済成長と株価上昇の力強さです。米国株式市場を代表する株価指数であるS&P500(主要上場企業500社で構成)は、ITバブル崩壊、リーマンショック、コロナ禍など複数の急激な下落局面を経験しつつも、長期的には一貫した上昇基調を維持してきました。日本とは対照的に、米国は先進国でありながら人口が増えており、個人消費が経済をけん引しているのが特徴です。世界中から優秀な人材と資金が集まる環境が、企業の持続的な成長を支えています。
さらに、米国は「企業は株主のもの」という意識が強く、利益を株主に還元する文化が根付いています。日本企業も追随する動きは広がっています。米国には数十年にわたり毎年配当金を増やす「配当貴族」と呼ばれる企業が存在し、配当の支払いも年4回(四半期ごと)が主流です。定期的にインカムゲイン(配当収入)を得たい投資家にとって申し分のない環境です。また、日本株の売買単位(単元株)は100株ですが、米国株は1株単位なので少額で始めやすいのも魅力です。
分散投資の実践にもなります。日本円だけで資産を持つと、国内のインフレや為替変動の影響を受けやすくなります。米国株の保有を通じて資産の一部をドルなどの外貨建て資産にすることで、為替変動に対するリスクヘッジができます。
実はカンタン。外国株投資の始め方

日本に住んでいる個人投資家も、証券会社を通じて外国株を取引することはできます。外国株取引のステップを、順に見ていきましょう。
ステップ① 外国株取引に対応した証券会社に口座を開く
まずは外国株を取り扱う証券会社に口座を開設します。近年は米国株や中国株など外国株取引に対応する証券会社が増えており、探すのに手間取ることはないでしょう。総合口座の開設と同時に外国株式取引口座を開設できる証券会社もあります。
ステップ② 資金を入金する
口座を開設したら、資金を入金します。外国株を購入する場合は、あらかじめ円を外貨に交換して株を買う「外貨決済」と、日本円のまま注文を出して証券会社が自動的に為替レートを計算して買い付ける「円貨決済」の2つがあります。最初は手軽な円貨決済から始め、慣れてきたり投資金額が大きくなったりしたらコストの低い外貨決済にすれば良いでしょう。
ステップ③ 銘柄を選び注文する
資金の準備ができたら、投資したい企業の株式を選びます。銘柄名やティッカーシンボル(日本の銘柄コードに相当する記号)で検索し、株数と価格(指値・成行)を指定して注文を出すことで売買が成立します。
外国株投資の「注意点」
外国株投資には、国内株にはない特有のリスクやルールがあります。思わぬ失敗を防ぐため、以下のポイントを押さえておきましょう。
注意点① 為替リスク
外国株のパフォーマンスは「株価の変動」と「為替の変動」の2つの要素で決まります。たとえば、株価が10%上昇しても、同時に円高ドル安が10%進むと、円換算での利益は相殺されてしまいます。資産の評価額は現地通貨建てだけではなく、円貨ベースでもチェックすることです。
注意点② 配当金の二重課税
日本株の配当金には20.315%が課税されますが、米国株の場合は、日米租税条約に基づき、現地(米国)で10%が源泉徴収されるのが一般的です。その後、日本で20.315%が課税される「二重課税」が適用されます。二重課税された税金を調整するには、確定申告で「外国税額控除」を申請する必要があります。また、条件によっては全額が控除されるわけではないので、確認が必要です。
なお、NISAの「成長投資枠」で購入した米国株から配当金を受け取った場合、「株式数比例配分方式」に登録していれば日本の税金は非課税となりますが、米国での10%は差し引かれます。ただし、この場合は二重課税ではないため、外国税額控除は利用できません。
注意点③ 取引時間
米国株の取引時間は、日本時間の夜間です。リアルタイムで値動きを追うと睡眠時間に影響する可能性があるため、あらかじめ価格を指定する指値注文を活用するなど、売買の工夫が求められます。さらに、日本株にあるような1日の値幅制限(ストップ高・ストップ安)の制度がなく、企業に関するニュースや決算内容などによって、1日で大きく株価が乱高下する可能性があり、より慎重な資金管理が重要です。
注意点④ 情報収集
米国企業のIR(投資家向け情報)は原則として英語で発信されます。決算発表や経営戦略の発表なども英語が基本です。そのため、日本語の情報は翻訳・解説を通じた二次情報であり、情報入手にタイムラグが生じることがあります。有名企業であれば日本のニュースでも大きく報じられますが、中堅以下の企業になると日本語での情報収集は格段に難しくなります。英語に不安がある場合は、知名度の高い大型優良株や、米国市場全体に投資するETFから始めるのが無難でしょう。
注意点⑤ 地政学的リスク
米国株は米国内の政治動向に敏感に反応することがあります。たとえば、大統領選や議会の動向、金融政策、貿易摩擦といったイベントによって、株価が大きく動くことがあります。
中国株や新興国株は、さらに地政学リスクが高まる傾向にあります。国際分散投資は投資のリスクを軽減してくれますが、単一国の株式投資よりも把握すべきリスク要因が増える点は認識しておきましょう。
外国株投資で資産形成・運用を多様化する
外国株、特に米国株への投資で、世界経済の成長を自分の資産形成・運用に取り込むことができます。市場規模が大きく情報も比較的入手しやすいため、外国株投資の入り口として多くの投資家に選ばれています。NISAの「成長投資枠」を活用して非課税メリットを享受できるのも大きなポイントです。
一方で、為替リスクや税制の違い、言語の壁など、特有の注意点はあります。しかし、「成長する市場へ投資する」という基本原則に立ち返ると、ポートフォリオを国際的に分散させることは、合理的な選択です。
とはいえ、いきなり多額の資金を投じる必要はありません。NISA口座で米国ETFを少額で積み立てたり、普段から使っているモノ・サービスを手掛ける企業の株を1株だけ買ってみたりする。そんなことから始めるのがおすすめです。
日本の経済成長が緩やかな時代において、米国をはじめとする海外企業の成長エンジンを自分の資産に組み込むのは、もはや特別なことではありません。投資環境が整ったいま、世界へ一歩踏み出してはいかがでしょうか。

