地政学的リスクと投資。世界情勢がポートフォリオに与える影響とは

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近年、紛争やテロといった政治的・軍事的・社会的な緊張の高まりが、その地域の経済や世界経済に悪影響を及ぼすことがあります。こうした特定の地域や世界全体の先行きが見えにくくなるリスクを「地政学的リスク」と呼びます。 地政学的リスクは投資にも大きな影響を与えます。どのような点に注意すればリスクを抑えられるのでしょうか。

地政学的リスクは企業活動に悪影響。投資パフォーマンスにも波及

地政学的リスクが高まると、不確実性が大きくなり、貿易やサプライチェーンに混乱が生じがちです。たとえば、原油などのエネルギー・資源価格が上振れしたり、為替の変動が大きくなったりして、世界経済が停滞する場合があります。企業活動における判断が慎重になり、個人消費にも悪影響を与える可能性があるため、投資市場が不安定になります。地政学的リスクを引き起こす政治的・軍事的・社会的な緊張とは、たとえば以下のようなものです。

  • 戦争や紛争、内戦といった武力衝突
  • 政権交代や政策変更
  • 経済制裁
  • テロなどの社会的混乱

近年顕在化している地政学的リスクには、以下のような例があります。

  • 米国:関税の引き上げなど、トランプ政権による自国優遇の政策強化
  • 中国:米中対立や台湾への侵攻リスク
  • ロシア:ウクライナ情勢の長期化
  • 中東:情勢の不安定化

ロシアのウクライナ侵攻では、原油などのエネルギー価格が上昇し、日本では多くの商品・サービス価格の引き上げにつながりました。また、2026年2月には、米国とイスラエルによるイランへの軍事行動が開始。原油輸送の要衝であるホルムズ海峡が事実上封鎖されたことで、物流コストが上昇。日用品、食品等の価格にも影響が出ており、インフレリスクが高まっています。この影響を受けてTOPIX(東証株価指数)は4月15日までに最大9.2%下落しました。

このような地政学的リスクが投資に与える影響として、まず挙げられるのは株価の変動です。戦争などの地政学的リスクが顕在化すると、地域・世界経済は停滞・悪化する可能性が高く、消費マインドの低下により企業業績が悪化する恐れがあります。その結果、世界的に株価が下落する傾向にあります。企業業績が悪化すると失業率が高まり、設備投資などに対する国や企業の姿勢も消極的になるでしょう。

地政学的リスクによる投資ポートフォリオの悪化。どう対処する?

いずれにしても、地政学的リスクは景気や経済の停滞・失速を招くため、株式や、株式を対象とした投資信託を保有している場合は、価格下落に見舞われる可能性が高くなります。価格下落による損失を回避するには、一時的に保有資産を減らし、金などの安全資産にシフトするといった手があります。

ただし、コロナショックの際には世界の株価が一時的に下落しましたが、その後は金融緩和策などにより反転上昇しました。この視点から考えると、地政学的リスクによる暴落は一時的なものであり、株式や投資信託を安く購入するチャンスと捉えることもできます。

特に、毎月定額で投資信託を買い付ける積立投資の場合、価格が安いときに多くの口数を購入することで平均購入単価を引き下げ、その後の上昇時に利益が生まれやすくなります。長期的に積立投資を行っている場合は、地政学的リスクに一喜一憂せず、淡々と買い続けるのが賢明かもしれません。

地政学的リスクはいつ顕在化するかわかりませんが、普段のニュースや海外のニュースサイトをチェックすることで状況を把握できます。外務省の「海外安全ホームページ」や、最新の安全情報が得られる「たびレジ」なども役立つでしょう。事前に情報を収集しておけば、適切な対策を講じやすくなります。

  • 地政学的リスクが高い地域の株式や債券への投資を避ける
  • 内需関連銘柄を保有する
  • 市場の変動を想定し、割安な資産クラスを仕込んでおく
  • エネルギー価格の上昇の恩恵を受ける銘柄を購入する

最も重要なのは、分散投資を実践することです。地域や業種、資産クラスを分散させることで、リスクを軽減できます。

また、先述のように、地政学的リスクの顕在化による短期的な株価下落は避けられません。ただし、中長期的には企業業績といったファンダメンタルズが株価を左右するため、「リスクがどの程度続くのか」「影響の度合い」を冷静に分析し、自身のポートフォリオに反映させることが重要です。

国際情勢を加味した投資には、専門的な知識が求められます。自ら学習を進めて情報を集めるとともに、IFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)などの資産運用の専門家に相談するのも一案です。

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